ちょっと、ヤボ用で夜9時ごろに外を歩いた。
この中部地方は、日中クマゼミが街路樹などで、
「ワシワシ」とやかましく鳴きまくっているが、
さすがに真っ暗になったこの時間は鳴いていない。
しかし、「ジーーーーー」と低くく単調に鳴く
声だけが聴こえている。
セミの中では一番地味な声のニイニイゼミである。
日中もニイニイゼミは鳴いているのだが、クマゼミの
雄叫びにかき消されているのだ。
それを知ってか知らずか、ここぞとばかりに声を
振り絞って鳴いている。
蝉の声は、どのセミでも夏のBGMとして、大好きな声なので、
久々のニイニイゼミの声を、しんみり聴きつつ家に帰り着いた。
ドアを閉めると、聴こえないはずのニイニイゼミの声…が、
ひときわジーーーと、聴こえているではないか、と思いきや、
最近よく聴く、似ていて非なる耳鳴りが脳内に余韻のように
響き渡っていたのである。
このセミの声だけは聴きとーなかった。W