つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

酔い柿

2013-11-04 07:41:22 | ちょっとした出来事

友人のF氏から枝豆と柿をもらってきた。

 

彼の家は先祖伝来の畑があるのだ。


もらった枝豆は黒枝豆と言うそうだが、見た感じは

緑色のまったくの枝豆だ。剥いてみると、豆がちょっと

黒ずんだ薄皮に覆われていた。ほっとくと鞘ごと

黒くなるそうである。


「殺虫剤使ってないから虫食いが多いよ」と彼が言った通り、

お見事な虫がお先にむさぼっていたのが多々あったので

みんな剥いて食べた。

冷凍の枝豆しか食べてなかったので、ワイルド

だったが、生の採りたてはやっぱり旨かった。


「柿はまだちょっと早いんだよね」と彼が言う通り

そばに生っていた柿は全体には熟れていない。

 

それでも、色づきがいい柿を選んで7~8個

いただいた。


家へ帰って、1個だけ完熟で柔らかくなったのが

あったので、台所で食べてみると、「うんま~!」と

思わず叫んでしまった。


すると、その声を聞いた身内が飛んできて、

「あ~何食べてるの」と発見され、「美味しそう~」

と言うが早いか、パクリと残りを口に入れ「旨~い!」

同じく絶叫した。


しかし、一口ではもの足りなかったのか、「あ~こんなにある」

と、もらってきた柿を袋から取り出している。


「そっちはまだ早いよ」というと、「けっこう熟れてるの

あるよ」と言って何やらゴソゴソ…。


しばし、間があって…「ん~むあ~!!!」と人間の声とも

思えないうめき声に近い声が聞こえてきた。

 

見れば顔が梅干しばあさんになっている。「エ~、何なんだ…」

とわたしも同じのをパクリ!「んごお~!!!」

同じような声がしぼり出て、梅干し爺さんになってしまった。


ものすごく渋いのである。


彼の一家は、柿が嫌いでほとんど食べないせいか

渋柿かどうかも知らなかったらしい。


しかし、食べた熟柿は、「こんなに旨いのもらっていいの?」

とマジで思ったほどで、甘柿の比ではなかったのだ。


調べてみると、甘さは渋柿のほうが勝っているという。


だから渋みの取れた干し柿などは、あんなに甘いのだ。


ということは、そのまま熟れさせればあの旨さが

得られるに違いない。

 

しかし、我ら凡庸のつらさは、じっと待つという崇高な

時間を過ごせないところにある。

 

目の前に青いニンジンをぶら下げられた駄馬の

ごとくなので、何とか早く甘くできないかとネット検索で探した。


干し柿は出来そうもないので、他の方法を探すと

一番簡単なのが、柿のヘタの部分にアルコールを

垂らす、というのがあった。

 

全部の柿をひっくり返し、愛飲の焼酎をヘタに垂らした。


翌日見てみると、気のせいか一番赤かったのが

すっかり深紅近くになっている。


「アハ…柿が酔ってる」何だかおかしかったが、すぐに

パクついてみると「旨い!」渋みは全然感じなかった。

早くても2~3日はかかると思っていたので、

焼酎の効果を実感した。

これを勝手に「酔い柿」と命名し、「次はお前さんかな…」

残りで一番赤くなっている柿を指差した。




コメント
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