マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

子宮頸癌ワクチン

2011年08月18日 | ワクチン その他
先日、国内2つ目の子宮頸癌ワクチン「ガーダシル」が承認されました。
もうすぐ発売(=接種可能)となるのですが、
現時点で接種が行われている「サーバリックス」とどちらを選ぶのかは悩ましい問題です。

まずはお金の問題。
おそらくガーダシルも発売と同時くらいに公費での接種が認められるのでしょうけど、
今年度の予算の絡みから、少なくとも9月のうちに1回目の接種を済ませてしまう必要があります。
(来年度以降は今のところ未定)
公費助成の決定が遅れるなどあれば、そもそもガーダシルは選択肢にすら入れないということに。

続いて、効果の問題(本当はこちらが一番なはずですが。。。)。
以前もお話しましたが、サーバリックスは、子宮頸癌の原因となるとされる、
ヒトパピローマウィルスの16・18型に対するワクチンです。

一方のガーダシルはというと、サーバリックスの16、18に加えて、
6、11のタイプにも効果があります。
ただし、子宮頚癌に関しては、16と18のタイプが問題になる型で、
6、11は尖形コンジロームなどの性行為感染症に関わる型です。

16・18型に対する抗体価の上昇および持続に関してはサーバリックスが優位とのこと。
ガーダシルはその意味で将来的に追加接種の必要もあるようです。
もともと「癌」の予防が目玉のワクチンですから、「性病」云々のおまけ?については
保護者のみなさんも余程でない限り関心は低いのではないのでしょうかね。

最後にもうひとつ。
まあこれは接種する側の都合だけといえばそれまでなのですが、
2つのワクチンは接種間隔が異なります。
サーバリックスが初回、1ヶ月後、6ヶ月後。
ガーダシルは初回、2ヶ月後、6ヶ月後。
ちなみにどちらかのワクチンを接種すると、もう一方のワクチンは接種できないのだそうです。
接種ミスを防ぐという点からは、2種類のワクチンが混在することはあまり望ましくありません。

今のところ、個人的には、サーバリックスだけにして問題があるとは考えられませんので、
当面はうちではサーバリックスだけ取り扱うことにしました。
どうしてもガーダシルを接種するんだっ!!という場合は、申し訳ないですが、
他の医院・病院で接種してもらうことになりますが。。。

市などから、選択の自由がないのは何事か!とおしかりを受けるようであれば、再検討したいと思います。