Sydney Yajima


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V字回復と、危うさ

2010-02-14 01:41:13 | 世界情勢
中国、アメリカの輸出が回復基調にある。もちろん、リーマンショックで世界が一時的に買い控えを行った結果、落ち込んだ景気が、回復しつつあるということなのだが、実際はどうなのか見てみよう。

今の経済を牽引しているエンジンは、中国である。
中国は、財政出動を去年の今頃、大規模に行い、4大銀行は、貸付枠を広げて、国内消費を活発にさせた。

日本人の視点から見れば、滑稽なのは、アメリカ人は何でも持っているというところへ、より良い製品を売って儲けたが、今度は、自分たちが何でも持っているという立場になり、それでも、今度はまだ持っていない人がたくさんいる中国へ物を売ろうという立場で、ものづくりをしている点だ。
もちろん中国からの輸入も増やし、日本は、お互い、経済的にいい関係を築き上げている。

今、日本はデフレの恐怖ということを、盛んに言っているけれど、デフレ自体、未経験の世界なので、本当にそれが、恐怖なのかどうかは、分からない。

利率はゼロに近く、金利政策でやるべきことはやりつくしたので、本来は企業が、本当にデフレの恐怖を思うならば、従業員の給料を上げなければ、インフレにはなりえないのだが、不況のあおりで給料は下がる一方、デフレは深刻になっていく循環を繰り返している。

デフレは、日本国内だけをみれば、深刻な危機にみえるけれど、中国との競争力をつけるためには必要な通過点ではないだろうか?

冷たい水と熱い水を混ぜると、ぬるい水になる。
ぬるい水は一番、居心地がいい状態で、今 日本の経済は冷たく、中国が熱いのであれば、どちらも混ぜ合わせることで、お互いに良い状態になる場所を探さなければならず、それがデフレであり、中国のインフレであるわけだ。

大きな国の話なので、もう少し時間がかかる。

国という話が出たので、もうちょっとついでに書けば、今までの問題はリーマンショック以降ずっと会社の問題だった。カンパニーの問題である。それが、財政出動をして財政が赤字になっているカントリー(国)の問題になりつつあるのが現状だ。

ギリシャの破綻危機、ポルトガルの破綻危機、アイスランド、スペインと続くけれど、これらはカントリーリスクが上がっていることを示す。カントリーが破綻すると、助ける方法は、新しい、EUとか、アジア共同体などの、共同体でのより大きな枠組みでの救助が必要になり、そしてそれがもし、うまく機能しなければ、今度は、世界全体のG7に代表されるような枠組みへと舞台が移る。
しかし大きくなればなるほど、いわゆる「他人事」扱いになり、救助は薄く、遅くなるだろう。

カンパニーリスクが、カントリーリスクになり、どこかが本格的に破綻しはじめたら、連鎖反応が起こり、対岸の火事ではすまなくなる。私は、このことについて 一番、心配している。

アジアでのカントリーリスクの高まっている国は、軍事的にはミャンマーや北朝鮮であるけれど、経済的には、インドネシア、それに、フィリピンや、タイ、などの通貨問題がくすぶり始めている。

韓国は、今のところ、うまくリーマンショックを乗り切っている。
ただ長期的展望は なかなか立て辛いことは、問題で、韓国政府自身、それを痛感しているはずだ。

こういう環境が取り巻く中 日本は、割合とうまくやっている。デフレ問題は深刻だけれど、それよりも深刻になりうる雇用問題が、日本単体でみれば、あまり良くないかもしれないけれど世界の今の状況の中では、比べれば まあまあ悪くない といったところだ。5%台で推移しているうちは、まだまだマシで、世界は二桁の失業率に頭を悩ませている。

失業率がある程度ある社会は、実は健全で、失業率が0%になると、社会はインフレで破綻するというケインズのクラッシックな経済論を、標榜するならば、ややデフレで、失業率が5~6%は、成長は見込めなくても、まあまあいい状態で運行されている状態だ。

日本の景気は悪いというけれど、今の世界に比べれば、最高水準と言って良い。