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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ナキウサギ講演会

2007-02-25 | その他あれこれ
・図書館2Fで開催された市民向けの自然講演会を聴講。内容はエゾナキウサギの生態と保全について、である。参加者数は50名くらいでなかなかの盛況。いかにも”山好き”という雰囲気の人から年配の方々まで実に様々で、こうした課題に対する関心の高さが伺える。

・講演は2部形式で、前半は写真をふんだんに使った生態に関するもの、後半は具体的な保全活動に関するものであった。前半では、ナキウサギは夫婦がペアとなって40-70mのナワバリを持っており、そのナワバリはガレ場に対応していることが示されていた。興味深いのは、各ペアのナワバリがほとんど重ならないことである。

・後半では、絶滅危惧種の保全や天然記念物の基礎的な知見に加えて、地域住民に対して具体的な保全活動の展開にまで踏み込んだ提言をしてくださり、なかなか聞きごたえがあった。ところで、分断化が生息地の環境に及ぼす悪影響についてはよく分かったのだが、メタ個体群の解釈はちょっと違うような気がした。

・ナキウサギの場合、もともと山岳地帯ごとに個体群が固定され、個体群間の遺伝的な交流などは元々ほとんどないようなものだろう(こうしたことは、遺伝解析をすればかなりはっきりするはずだ)。そう考えると、メタ個体群は、夕張・芦別、大雪、十勝といった地域スケールではなく、「山岳ごと」といったかなり小さいスケールだと推察される。となると、「分断化されて個体の移動がなくなったから絶滅する」というようなタイプではないのではなかろうか。遺伝分析はどこまで行われているのか、ちょっと調べてみるか・・・。



・昼から近所の公園へ。ためられた雪の山が、子供たちの遊び場になっている。そりすべりや尻すべりでしばらく遊ぶ。桜の木の芽はまだまだ固いが、だいぶ雪が溶けている。今年の雪解けはかなり早いんだろうか・・・。