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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

雪の岩魚沢

2007-02-22 | フィールドから
・久しぶりにスキーを履いて、Tさん、広島大のSさんと岩魚沢へ。この時期の雪の岩魚沢にはスノーモービルでは何度か行ったことがあるが、スキーで行くのは南麻布のSさんと行って以来2回目である。今日は至って快晴で、なんとも気分がいい。


・本日の一つの目的は、トドマツ小径木(dbh:5-20cm)の樹齢調査である。遺伝解析の結果、岩魚沢の小径木の母親は周囲にはいないという結果が得られているわけで、小径木の樹齢が分かれば、トドマツ個体群の世代交代の時間がつかめるのではないか、というわけ。もう一つの目的は、風向風速計のデータ回収である。降雪前の11月に回収したきりになっているので、雪の時期のデータをまとめて回収する。



・ついでに、カツラの種子散布がこの時期にも起こっているか、ということも確かめる。岩魚沢にはシードトラップが設置されているのだが、これまた11月末からは雪の下に設置されているので、雪の時期の種子はいつ落下したのかが分からない。とりあえず、1月ごろまでに完了しているのか、それともまだ種子は付いているのかを知りたいわけで・・・。



・カツラの種子散布時期に関する疑問は簡単に解消。個体にも違いそうだが、まだまだカツラの種子(というか小さなバナナ風の房果)は”がっぽり”と付いている。Tさんが枝をゆすってみると、ばらばらと種子が舞い落ちる。自然状態でも結構散布されており、この時期もまだまだ種子は散布されていることが判明。この分だと、雪の上をブリザードとともに転がるなんてことも本当にありそうだ。

・久しぶりの山スキーに苦戦しつつ、ようやく現場到着。成長錘でコアを抜く。見ていると簡単そうだが、やってみると案外きれいに抜けなかったりして難しい。見事に真ん中が抜けるとこの上もなく爽快な気分になるのだが・・・。ちなみに、室内に戻ってSさんとTさんに樹齢を数えてもらったところ、15cm-20cmの個体で60年程度という値がでた。思ったよりも若い感じもするが、樹高の伸びはよさそうだったので妥当な値かもしれない。



・10時ごろ、小班界A,B10点付近で、シカの群れに遭遇。岩魚沢はもともとシカが多いのだが、雌ばかり10頭ほどの群れと8頭ほどの群れを見る。ニレ類に対する新しいシカの食害は見つからず、何を食べているのだろうかと疑問が残る。ふと頭上に目をやると、オジロワシだ。その名のとおり、見事なぐらい尻尾が白い。今日のような空だと、色彩の対比は見事である。と思っていると、さらにアオサギがやってきてはあっという間に飛び去っていく。おお、これらの目撃情報を”動物目撃ノート”に記載しなくては・・・。



・帰りごろになると、暖かくなったせいか、森林内では雪がスキーにくっついて、下駄状態となる。いったんこうなると、なんのためにスキーを履いているのか、分からなくなる。ほとんど足がつりかけたところでようやく林道に出る。日当たりが悪いのが幸いして、ようやくスキーから雪が落ち、滑るようになる。Sさんも初めての山スキーにようやく慣れたか、すいすいと進んでいる。それにしても、久しぶりに現場に来ると、五感が開放される感じで、精神衛生的にも実によい。フィールドからのインスピレーションって、計り知れないものですなあ。