一生

人生観と死生観

不況下の社会不安

2009-02-28 12:00:22 | 哲学
2月28日 晴れ
 アメリカ発の不況がますます深刻になっていく。世界はなかなか有効な打つ手を見出せず、右往左往の状況だ。アメリカのオバマ大統領は早速GMやシチーグループの公的資金による救済に乗り出したが、効果がでるにはどれほど時間がかかるのか誰も分からない。日本の機軸産業のトヨタなどの自動車会社とソニーなどのエレクトロニクス会社の損失も莫大なものであるようだ。
 そして失業者の増えるこの頃、役所は臨時の雇用を始めるところが出ており、この福島県でも知事が積極的である。ただ失業者の数に比べ、役所の雇用はあまりにも少なく、焼け石に水といった状況だ。農業や林業への転換は本格的な救済になるかどうか。介護福祉を充実させることは急務だが、介護士などになるための資格の問題があり、だれでもいいという訳にはゆかない。
 大変な世の中だ。全治三年と麻生首相は言ったがそれどころでなさそうだ。社会の不安を座視することが出来ず、デモをやれという声が新聞投書欄に見られるようになった。見過ごすことの出来ない意見だ。政治家よ、もっと事態を深刻に受け止めよ。

送りびとが受賞

2009-02-27 13:15:14 | 哲学
2月27日 曇り後雪
 温暖ないわきでも雪が降って、とことどころ白くなっている。私は孫の通学の送りびとで、自動車に冬タイヤを付けていないので大いに困る。
 ところで日本映画送りびとが始めてのアメリカアカデミー賞受賞とのことで、映画館は満員でうれしい悲鳴らしい。
 賞を貰ったらその映画を見ると言うのは、ノーベル賞を貰った人の講演会を聞きにゆくのと同じ。批評精神がない人が、名前につられて人を見ると言うことのようであまりパッとしない。しかし良いものは良いことも事実だ。
 人の生と死の問題は古くからの宗教的・哲学的課題だ。思索の対象としての死生観をもう一度考え直してみる。人は生まれるときには母から生まれ、父や家族から祝福されるのが普通だが、死ぬときは家族や友人に取り囲まれる死は相対的に減少し、ひっそりと孤独に死ぬ人の割合が多くなってきた。病院での死も気付かれないうちに起こることもかなりあるようだ。人はもともと孤独なのだと思う人が増えているのは現代社会の冷たさを示すバロメーターなのか。宗教を持つ人が神の愛にもとに帰るという場合は孤独も恐れることではないが、出来れば人が人に関心を持ち、人の死を心から悼んでもらいたいものである。

村上イスラエル賞講演

2009-02-26 18:09:03 | 哲学
2月26日 雨のち曇り
 今日は1936年2月26日陸軍若手将校などのクウデターの記念日、かつ孫の誕生日だ。
 週刊朝日に国際的に著名な小説家村上氏のイスラエル賞受賞講演を読んだ。話の入り口で巧みなユーモアを入れ、自分は小説と言う嘘の製造を職業とする人間だと自己紹介した。その後に現在のイスラエルのパレスチナ・ガザ地区への過剰な反撃を譬えを使ってたくみに批判した。固い壁と壊れやすい卵との関係を使ってである。礼儀正しい日本人が理屈っぽいが義理堅いイスラエル人の政策を取上げ、やりすぎだと言うことを明言したと考える。感銘を受けた。現実の行動は社会的意味を持つ以上、理屈だけで押し通してもらっては困る。当然のことだが、頭ごなしに言うのではなく、相手に考える余地を与える点、話法としては見事だ。
 イスラエルが近い将来政策を考え直すように祈る。

予断を許さず

2009-02-25 12:48:26 | 哲学
2月25日 曇り
 「予断を許さず」とはどうなるかわからないと言うことであるが、社会の将来に見通しが立たず、とくに若者の就職などに差支えが出たら、それは大変なことである。もともと未来は正確な予測は出来にくい。しかし最低限の見込みを立てないと計画的な仕事は成り立たない。こういう時期に社会にでなければならない人々は気の毒である。今世界は不況の嵐が吹きまくり、さらに悪化する気配である。見通しはまったく立たず、企業はどうしてよいか分からず迷いに迷っている。こうしたときに人の心は不安に揺れる。波間に抛り出されたら運を天に任せるほかないかも知れぬ。そういうときでもこれは人類がみな滅ぶわけでもあるまいと開き直って、そのとき出来る最善を尽くす、救いは必ず来ると心のうちに思っている人は強い。予断は許されないがこの信念がその人を導くだろう。

レッテル貼りの弊害

2009-02-24 11:16:51 | 哲学
2月24日 晴れ後曇り
 他人の性格、性向などを彼は何々主義者だとか、彼女はB型人間だとか、レッテルを貼なければ気がすまない人がいる。なるほど当たっていると思うこともあるが、多くの場合当人の存在の総体を見ないで一面的な見方に陥っているため、本人に迷惑なことがある。別の可能性も大いに考えなければならないのだ。
 思想の問題でいうと、戦時中あいつは赤いと言うことになれば刑務所行きも覚悟しなければならなかったし、今でも表立っていわないまでも、共産党というと暗い危ないイメージで見る人は多いのだ。レッテルが人間の思考の組立要素になってしまうと奇妙な結論がでることになることを警戒しなければならない。レッテルはどこまでもレッテルでしかない。テレビの討論などでこのことを心得ておかないとどうも納得のゆかない結末になりがちである。
 宗教の場合もこれに近い見方をされることがある。彼は創価学会だ、彼女はキリスト教だというレッテルは迷惑だろう。人間対人間の付き合いではまず人間であることが必要である。宗教人の顔を見せると警戒されることが多い。宗教人でもその宗教が人間的次元においてその人のいのちをを生かしている場合には問題もないであろうが。

矢内原忠雄

2009-02-23 11:18:32 | 人生人間
2月23日 雨
 世の中に偉大なXと言うものがある。近くで暮らしている人でさえ容易に理解できない。偉人ほど多面性がある。偉いと尊敬している人の隠れた欠点を暴きだすことを趣味としている人もいる。政治家や学者、女優、俳優、花形アナウンサーなどが一たんこういう人たちに摑まったら大変だ。
 矢内原忠雄、偉大な教育者、キリスト教伝道者。内村鑑三の弟子。かっては東大教授をつとめ、1931年の満州事変を調査して日本軍部の犯罪を確信した経済学者、矢内原事件(ある講演会で愛国精神のあまり日本を葬ってくださいと弁じたことが公になり、東大を追放された)後は特別高等警察の監視が厳しく、家庭集会で若者に決死の思いで聖書を講じ、軍国主義との戦いの日々を過ごし、戦後は東大に復帰して東大教養学部長、ついで東大総長をつとめ、その間も伝道の務めをやめなかった人。
 息子の矢内原伊作は父の伝記を書いた。それは父もまた継母恵子夫人も亡くなった後、朝日ジャーナル誌上だった。父忠雄は秀才で親元を離れて神戸一中に学んだ。その頃の日記が残っていた。それを公開したのだ。その中には普通なら公開できないひどいことが書いてあった。偉人にふさわしくない過去に見えるのだが、若者には恐らく普通のこと。恋愛ごっこだった。
 矢内原がキリスト教に入信する前には立派な顔して偽善的な振舞いをした。その後彼はいろいろな人生を体験し、内村の集会に学んで己の罪を深く反省し、悩んだに違いないが、そのことは息子は取上げないうちに急逝した。まるで親の恥を曝すのはもうこの辺でよいと言わんばかりの出来事だった。
 人は誰でも罪にまみれた存在だ。キリスト教の救いが徹底的なのはそうした隠れた罪まできよめる十字架の福音があるからだ。矢内原自身死の前に本当に己の罪を顧みて泣きに泣いたと恵子夫人は伝える。その後晴れ晴れとした顔になり、もう許されて天国の望みに生きる人になったと言うのだ。偉人を尊敬するのはかまわないが、偉人を絶対と思うなかれ。偉人の中の人間的欠点はかえってわれわれに真理を教え、偉人の中の卑小な人間に憐れみと親しみを覚えるかもしれない。

発見、不況で人を死なせない道

2009-02-22 12:16:27 | 人生人間
2月22日 晴れ
 私の知っているある女性ー仮にAさんとしておくーは金持ちとは思えないし、貯蓄があるとも思えない。しかし詩人で随筆家であり、旅行が好きな彼女はしょっちゅう旅に出る。歩いて山や野をめぐることが多いようだから、電車や飛行機でお金を落とすこともない。ガンを患ったというが、それは何時の間にか治ってしまったそうだ。コンビニの主人と親しく、二階の部屋をただで借りており、コンビニの期限切れ直後の食べ物をただで貰って食べているから、お金は要らない。Aさんは風のごとく現われ、風のごとく去る自由人で羨ましい限りだ。
 私は思う。不況対策として、失業者を死なせないために、これらの人にサービスをするコンビニに政府や地方自治体は補助をしたらよい。実績をカウントし、成績のよいところは表彰せよ、そして補助率をあげよ。NPOの活用も組み合わせよ。
 毎日新聞に遭難フリーターと言う映画の監督兼主演の若者のことがひと欄に出ていた。この寒い季節に宿もなく夜を過ごす人をどうして救うか。市営住宅や過疎の地域には空き家は相当あるはずだ。テント村の設定も考えるなどもっとしっかり対策を立てて欲しい。NPO法人を活用し食べ物確保に尽力せよ。総合対策を早急に!

世の中無情

2009-02-21 09:14:07 | 哲学
2月21日 晴れ 強風
 世の中に苦あれば楽あり(この順序が大切だ)、ダンテの神曲でも地獄のあとは煉獄を経て、天国に至る。この逆の道は堕天使のものとされる。しかし何事も人智の浅知恵では不明瞭である。
 世の中無情という事態もある。いま世界の経済危機というが、アメリカを中心に廻っていた経済は、アメリカの借金を素知らぬ顔で全世界に広めた悪名高いサブプライムローンとデリバティブが馬脚をあらわした結果という。餓死する人も出るだろうこの2,3年の危機をどう乗越えるか。これからいよいよ正念場だというのに、日本政府は何たる醜態、財務大臣の緊張感なきローマの失敗は世界に恥を曝したではないか。下々の生活の困窮は大臣には他人事なのだ。
 罰は下るに違いない。しかしどうか日本が立ち直ること出来るだけ速やかであるように!まことの悔い改めが起こるように。

無名人の真実

2009-02-20 16:01:12 | 哲学
2月20日 雨のち晴れ
 私はひねくれているのかも知れないが、有名人ばかり取上げるテレビ番組は余り好きではない。むしろ無名人の中に真実を発見したいと願うのだ。有名人の中にいいところはもちろんあるだろう。しかし有名人は長く自分の「有名さ」に浸っているとどこかおかしくなる。無名人はそのような誘惑や危険にさらされず、真価を発揮するーつまり味を出すことが出来る。
 エッセイ集を書きながら、歴史から消されようとしている大切な無名人を発見したいと努めているこの日頃である。いずれ人様の貴重な意見も参考にしたいものだ。

皇室の悩める女性について

2009-02-19 15:20:40 | 哲学
2月19日 晴れ時々曇り
 精神病は昔忌み嫌われたが、現代の知識では、精神の健康はいろいろな因子で決まり、普通の人でも環境によってはうつ病になり、また統合失調症になりうることが分かっている。遺伝との関わりは決定的というようなものではないらしい。
 また統合失調症や鬱の患者でも何時でも具合が悪いわけでもなく、正常と変わらないときもあるわけで、それに応じた治療を考えればよいのだ。
 精神病と烙印を押されて、病棟に閉じ込められた人々にも明るい希望が生まれてきたのだ。もっとも優れた素質の女性でも皇室にお嫁入りすると精神的に病気になる。皇后もそうだったし、皇太子妃もそれで悩んでいる。やはり環境が悪いということになるのだろう。宮内庁の改革も必要、皇室が背負っている伝統の見直しも必要、個人の尊厳がもっと尊重される環境も考えてもらいたいものだ。