11月30日 曇り
この世の中には理不尽なことも多く、いちいち腹を立てていたらきりもなく、たいていの人は傍観するしかない立場におかれる。肝炎の被害者が多数いることは前から知られていた。輸血や生物製剤で肝炎になる人もいるが、意外に多いのが予防接種が原因になっている場合である。多数の人に短時間で予防接種をしようとした予防接種暗黒時代というのがあった。1970年に予防接種禍が問題になる前である。予防接種のさいに注射筒を取り替えないどころか、針も取り替えない、打ち回しは当たり前のように日本全国で行なわれていた。こんなことをやれば肝炎のウィルスは人から人へ移るに決まっている。感染拡大は長い時間たってからはじめて分かる。このようなだらしのない予防接種の弊害を私は岩波新書で指摘しておいた。厚生省時代から分かりきったことであるのに、予防医学の専門家たちはただ接種人口の拡大だけを念頭に、お役所を煽動してきた。インフルエンザの場合もそうである。現場の医師は困っている。忙しい日常の医療の中、臨時の予防接種に駆り出され、悲鳴を上げている現実がある。現場を知らない研究者が机上の理論を国民全般に押し付けようとしているのだ。
肝炎患者の救済は当然のことだが、このさい現場を知らない研究者たちの自己の縄張り拡大主義を反省させることも必要だろう。
この世の中には理不尽なことも多く、いちいち腹を立てていたらきりもなく、たいていの人は傍観するしかない立場におかれる。肝炎の被害者が多数いることは前から知られていた。輸血や生物製剤で肝炎になる人もいるが、意外に多いのが予防接種が原因になっている場合である。多数の人に短時間で予防接種をしようとした予防接種暗黒時代というのがあった。1970年に予防接種禍が問題になる前である。予防接種のさいに注射筒を取り替えないどころか、針も取り替えない、打ち回しは当たり前のように日本全国で行なわれていた。こんなことをやれば肝炎のウィルスは人から人へ移るに決まっている。感染拡大は長い時間たってからはじめて分かる。このようなだらしのない予防接種の弊害を私は岩波新書で指摘しておいた。厚生省時代から分かりきったことであるのに、予防医学の専門家たちはただ接種人口の拡大だけを念頭に、お役所を煽動してきた。インフルエンザの場合もそうである。現場の医師は困っている。忙しい日常の医療の中、臨時の予防接種に駆り出され、悲鳴を上げている現実がある。現場を知らない研究者が机上の理論を国民全般に押し付けようとしているのだ。
肝炎患者の救済は当然のことだが、このさい現場を知らない研究者たちの自己の縄張り拡大主義を反省させることも必要だろう。