一生

人生観と死生観

定年退職者を励ます

2009-02-15 09:15:40 | 哲学
2月15日 晴れ
 間もなく年度の変わり目。これから新しい環境に入ることになる人には嬉しさ、緊張の季節だが、一方で定年退職の人も数多いことだろう。私の知人のT氏が退職に当たって言葉が欲しいと言ってきた。そこで次のメッセージを送った。
      定年は出発
 今までT大学で立派な業績をあげられたT氏が定年退職とのこと。
 大阪大学名誉教授で有名な物理学者、かつ参議院議員をつとめた伏見康治先生によると、科学的生活を成功させる要因として「運」「鈍」「根」があるという。「運」は待っていても取り逃すことがあるが、「鈍」と「根」は自分の側の責任で決まるものだ。科学者として幸運に恵まれた人は「鈍」と「根」がしっかりしていてこそ「運」がつくのだと思われる。私などはなまじっかシャープでないゆえに思いがけない「運」-私はこれをセレンディピティーと呼びたいーにぶつかった。その例がニッポニウム再発見の物証となった写真乾板とのめぐりあいである。百年前小川正孝が発見した新元素は本人自身がはじめに想定した43番元素ではなく、75番元素だったのだ。乾板上のスペクトルを解読して分かったことである。
 以上は私が定年後に取りかかった仕事である。定年後の人生も使いようによっては随分有意義なものである。定年は出発と思えば目の前に横たわる未来も輝く。
 どうぞこれからも健康で、元気で働いてくださるよう心から祈る。