「官僚というと、戦後の高度成長を実現させた優秀なエリートを思い浮かべる人もいまだに多いのでしょうが、それは大いなる誤解です。先進国の中で最も能力と責任感の低い官僚が権限を振るっているのが、日本の現実なのです。」
フムフム。
おぢがすっかり納得したこの文書は、元官僚にして作家の堺屋太一さんが、文藝春秋8月号に書いておる「団塊の世代の一票が日本を変える」の一節じゃ。
この中でおもしろいのは、団塊世代にとって今回の選挙で重要な対立軸は、以下のようだとしておること。
「官僚主導VS政治主導と東京集中VS地方振興」
もちろん、政治主導で地方振興ってことが重要だと説いている。
小泉内閣についても以下のように喝破しておる。
「小泉内閣を評して、官邸主導という言葉が使われました。これを政治主導とするのは誤りです。総理大臣という政治家が主導したのではなく、官邸に陣取る一部の官僚が全てを牛耳っていたのです」
当時よく言われた、「小泉総理の丸投げ手法」とは、まさに官僚への丸投げ手法を指しておったということじゃ。
元に戻るけど、「『脱官僚主導、規制緩和』がこの国で遅ればせながらスタートしたのは1998年の金融不況と参院選での自民大敗だった」だけど、「ここ2、3年の動きをみれば冷戦時代へ逆戻りしているかのような規制強化が行われている」
具体例として「急激な医師不足」「新興企業の摘発」などを通じて「官僚が見えない支配を強める傾向がある」としている。
確かに官僚は「医師過剰時代」を煽り、結果として「医師不足」が作られた。
また、ライブドアに象徴される新興企業の摘発は、マーケットの判断を待たずに役所の論理で排除した側面も否定できない。
もちろん、ライブドアなどに問題はごっちゃりあったけどね。
90年代デリバティブの取引高は大阪が世界一だったけど、いまやトップは韓国ソウル。
また、アジアのハブ空港は成田でも関西空港でもなくて、上海、仁川、香港だそうだ。
教育もしかりじゃね。
また、各国の報道機関も特派員を引き揚げるところが続出しておるそうな。
先日のブルドックソースのついての司法判断も、国民は溜飲を下げたかも知らんけど、株価は急落し、ニッポンの株主は大損してもうた。
ナスダックなど新興市場の株価が低迷する原因も、こうした官僚の「見えない支配」におびえた姿なのかもしれませぬ。
いずれにせよ、官僚支配が規制を強化する中で、ニッポンのあらゆる場面で地盤沈下が進んでおる。
どんどん困った国になっておるのだけれど、「いずれも官僚統制が諸悪の根源でした。にもかかわらず、依然として官僚には危機感も不都合の認識もありません」だそうだ。
世界から取り残されるニッポン国の姿が浮かび上がります。
官僚の動向をきっちり見ておかないと、この国の将来、大変なことになりそうだ。