読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

人命を危険にさらす中国の「黒い救急車」

2013-02-02 08:54:22 | 事件
wsj日本版から


救急車の窓ガラスに映る中国の人民大会堂
By LAURIE BURKITT

 中国には、偽のアップルの販売店や高級ブランド品でだまされたと感じる消費者がいるようだが、命を危険にさらしている模造品もある。違法な救急車だ。共産党系中国紙の環球時報によると、無認可の救急車が増えており、患者が死亡する一因になることも多い。大半は、正式な医療機器や訓練を受けた医療スタッフを持たない。また、数百キロ離れた、標準に満たない私立病院に患者が移送されるケースもあるという。

 記事は、いわゆる「黒い救急車」の増加について具体的な数字は示していない。だが、インターネットで「救急車レンタル会社」を検索すると200万件ヒットする。

 環球時報によると、中国では個人や非医療会社が救急車を買ったり運営したりすることは違法だ。

 政府は医療制度の改善に努めているが、無許可の緊急サービスの増加は中国の医療制度の根強い欠陥を浮き彫りにしている。同国の指導層は、人口の95%に基本的な保 険を提供するため、1250億ドル(約11兆3700億円)を費やしてきた。市民は医療費の一部を負担できるようになったかにみえる一方、医師不足や不適切な機器、救急車不足といった病院側の制度的問題に今もなお悩まされている。

 民間企業はこうした医療制度の穴を埋めようとしているが、スタッフを適切に備えた会社ばかりではなく、患者の安全を犠牲にして金もうけに走っていると非難される企業も多い。

 昨年には、武漢市の私設救急車のオーナーが2万8900ドルの罰金を科された。心臓の手術を受けなくてはならなかった患者が亡くなった一因になったとの裁決のためだ。このオーナーは、患者を救急車に閉じ込め、エアコンを消し、患者の親族と話し合っていたと環球時報は伝えた。

 共産党系の北京日報が21日報じたところによると、北京市には計600台前後の救急車が必要だが、現在100台以上足りない状態だ。問題を複雑にしている一因は伝説的なまでの交通事情の悪さ。救急車が路上で過ごす時間が延び、1日に搬送できる患者の数が減っているという。国営英字紙チャイナ・デーリーによると、昨年、渋滞にはまった救急車が3キロ進むのに40分かかり、患者が亡くなったケースがあったという。

 規制を受けない救急車に対する国民の感情は圧倒的に悪い。マイクロブログサービス「新浪微博」のユーザーは、闇市場よりも合法的な病院サービスを好むと明言している。だが、一部は現在の状況をあきらめているようだ。北京のある新浪微博ユーザーは「黒い救急車が存在するのは、認可された救急車では需要を満たせないためだ」と書いた。

 北京の別のユーザーは「黒い救急車が存在するとはどういうことだ? 衛生省は管理していないのか?」と戸惑いを示した。

 環球時報によれば、地方政府は闇の緊急サービスを取り締まっていると主張している。

 記事は、各地の病院への予算を増やす計画が政府にあるかどうかには触れていない。


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