読書など徒然に

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古いPCはウィンドウズ8にアップグレードしないほうが?

2013-01-16 08:57:24 | パソコン
wsj日本版から By WALTER S. MOSSBERG


アップグレード後、レノボの「ThinkPad X301」のタッチパネルはスタート画面のスクロールができなくなった

読者のみなさんがパソコン(PC)をマイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」にアップグレードしようと考えているなら、そのPCが1 年から2年以上使っているものなら特に、苦労や失望筆者がこれを知っているのは、高い評価を得ている2機種――レノボの2008年製ノート型とヒューレット・パッカード(HP)の2009年製タッチパネル対応のデスクトップ型――をウィンドウズ8にアップグレードすることに過去1週間の大半を費やしたからだ。アップグレードの作業は苦痛を伴うものだったうえ、 PC機能の一部が失われる結果となった。2機種ともウィンドウズ7は全く問題なく動作しており、ウィンドウズ8にアップグレードする際の最小限の要求は満 たしていたにもかかわらず、だ。

 確かに、メーカー側がウィンドウズ8へのアップグレードを予期していたり、これに対応させるためのソフトウエアを集めたものを用意していたりするような最新のPCをアップグレードするなら状況はこれより良いだろう。筆者が学んだのは――遅すぎるが――アップグレードした2機種のいずれもが、メーカー側がそういったソフトウエアを用意している機種ではなかったということだ。これはおそらく両機種のハードウエアの態様がウィンドウズ8の要求に対応できていないからだろう。

 例えば、レノボのノート型PC「ThinkPad(シンクパッド)X301」はウィンドウズ8のテーブルに似たスタート画面でのスクロールや特定の動きができなかった。HPの「TouchSmart(タッチスマート)300」に搭載されたタッチ画面はウィンドウズ8でのタッチ動作に対して毎回正確に、また 信頼に足るほど十分敏感に反応したわけではなかった。加えて、マイクロホンが作動しなかった。それにHPがフリーズするのを止めるため、HPやマイクロソフトのプログラムを含むインストール済みのソフトウエアのほとんどをアンインストールしなければならなかった。

 いくらか古いPCが新しいOSの利点を完全に活かすことができないのは、珍しいことではない。それにウィンドウズ8は大幅な改定だ。しかし、筆者は2つの PCが新しいシステムでは完全には動作しないことを発見することが、どれだけ大変だったかということに驚かされた。マイクロソフトのインストーラーが教えてくれるかと思ったが、そうではなかった。

 問題の一部は自分自身にある、と思う。レノボやHPのホームページで調べようと思っていたら、筆者の持っている機種がアップグレードに適しているとメーカー側が考えていないことがわかったかもしれない。

 例えば、HPのインフォメーションページで筆者が持っているタッチスマートの公式な製造番号を入力すると、「HPはこのPCを検証していません。このため、HPはアップグレードに関する手引きやウィンドウズ8対応のドライバを提供することができません。アップグレードを試みた場合、基本的な機能や安定性 が失われる可能性があります」というメッセージが表示された。悲しいかな、これを学んだのはアップグレードしてしまった後だった。

 HPの広報担当者は「どのPCでも、ハードウエアとソフトウエアが互いにうまく動作することは重要で、2009年に市場に投入されたタッチスマート300を含むわれわれの古い機種の一部は、ウィンドウズ8の広範におよぶ新機能の利点を活かすことが単にできない」と話す。

 レノボの広報担当者は「X301は5年前の機種で、レノボはウィンドウズ8へのアップグレードでサポートしないことを決めた。タッチ画面が搭載されている端末はウィンドウズ8のすべての機能をサポートできるわけではない」と述べた。

 マイクロソフトは「アップグレードアシスタント」というソフトウエアを提供している。これを使えば筆者に問題を警告してくれたかもしれない。しかし、筆者が使用したウィンドウズ8プロのDVDが入っていた箱には、裏側の下部に小さな文字で、このユーティリティソフトを起動し、メーカーのウェブサイトを確認するよう書いてあるだけだった。

 筆者の問題は、ウィンドウズ8のインストーラーを信頼しすぎたことだった。新OSを搭載できるかどうかPCを診断してくれるインストーラーが重要な非適合性を教えてくれると思っていたのだ。インストーラーは確かに1つは見つけた。それぞれの機種にインストールされていたブルートゥースだ。インストーラーは このブルートゥースをアンインストールするように指示した。筆者は忠実にそうした。

 筆者はマイクロソフトに、なぜインストーラーがほかの非適合性について警告しなかったのか聞いた。すると1人の関係者はすべての機種がどう動作するか単に不明だからだと述べた。だからこそ、ユーザーにPCメーカーの指示と警告を仰ぐよう勧めているのだという。

 また、インストーラー自体でも問題に直面した。HPではDVDでもウィンドウズ8のダウンロード版でも作動しなかったのだ。このため、筆者はウィンドウズ8のダウンロード版を容量4ギガバイトのUSBフラッシュメモリに転送し、作業をしなければならなかった。(それは少なくとも3ギガバイトの容量を要求する。)

 今月末までの期間限定で、ウィンドウズ8のアップグレード版を40ドル(約3500円)のダウンロード用か70ドルのDVDで購入することができる。ただ し、ユーザーが特定の企業ネットワークに接続することを可能にする機能が付加された最上位のPro版のみが対象だ。マイクロソフトは最終的な通常価格をま だ発表していないが、スタンダード版は少なくとも100ドル前後、Pro版は200ドル前後になると筆者は予想している。

 ウィンドウズ8が要求する基本的なスペックはCPU(中央演算処理装置)が1ギガヘルツ以上、メモリー容量が少なくとも1ギガバイトもしくは2ギガバイト で、これはPCが32ビット版か64ビット版かで違う(インストーラーが教えてくれる)。また、空き容量は少なくとも16ギガバイトかもしくは20ギガバイトが必要だ。これも32ビットか64ビットかで違う。マイクロソフトのDirectX 9グラフィックスデバイス(WDDMドライバー付き)を操作できるグラフィックシステムも必要だ。

 両機種による筆者のテストでは実際のインストールに約2時間を要した。しかし、それぞれのPCの細かな調整やウィンドウズ8に対応させるためのアップデートや、あらかじめインストールされていたアプリの入手などに1日分の労働時間かそれ以上かかった。例えば、インストールが終了したように見えた後、無線 LANの「WiFi」接続が両機種とも失われていたため、それを回復させるために一時的にファイアウォールを解除し、それからウイルス対策ソフトをアップグレードしなければならなかった。

 HPの場合は問題がさらに深刻だった。HPの機種はレノボの機種より新しく、タッチ画面を搭載しているため、レノボより容易だろうと考えていた。ところが 、HPでは、初めはバグだらけでアプリを起動させるとスタート画面に戻ることすらできなかった。また頻繁にフリーズした。筆者はウィンドウズ8を再インストールする「リフレッシュ」を余儀なくされた。これは保存した個人用ファイルは消去されないが、マイクロソフトのオンラインストアで購入した新しい様式のアプリを除き、従来のウィンドウズで使っていたすべてのマイクロソフト以外のウィンドウズ対応プログラムを消してしまうものだ。このリフレッシュでHPの状態はかなり良くなった。マイクロホンが失われ、タッチ画面が新品同様には動作しなくなったことを除いては。

 しかし、筆者は数十のプログラムを失った。例えばHPのタッチ画面の操作を軽快にする「ソフトウエアスイート」、グーグルのブラウザー「クローム」、アップルの「iTunes(アイチューンズ)」、マイクロソフトのソフト群「ウィンドウズ・ライブ・エッセンシャルズ」、非営利組織モジラのブラウザー「ファイヤーフォックス」などだ。これらの一部を再インストールするために、さらに時間を割かなければならなかった。

 結局、両機種ともウィンドウズ8で素早く動作しているが、ぎこちない。また、両機種とも起動は以前より速くなった。

 しかし、ペナルティはある。いずれの機種も以前より空き容量が12から13ギガバイト減った。これは主にインストーラーが旧OSと相いれないファイルを 「ウィンドウズオールド」と呼ばれるフォルダに集めているためだ。このフォルダは空き容量を取り戻すために削除することができるし、いずれにしても28日 後にはウィンドウズが自動的に大部分を削除する。

 業界としては新品のPCを通してウィンドウズ8を使ってほしいと思っているし、ウィンドウズ8を手に入れるほとんどの人はこの方法によるだろう。しか し、仮にそうしない、もしくはそうできない場合、また製造から3年が過ぎたPCを持っているなら、今のウィンドウズを使い続けたほうがいいかもしれない。を覚悟したほうがいい。たとえ、要求されるスペックは満たしていてもだ。


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