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戦没画学生慰霊美術館 『無言館』

2006-08-20 11:30:09 | 旅行
真夏の暑い日であった。墓参かたがた長野県上田市の郊外にある小さな美術館「無言館」を訪れた。この戦没画家の遺作、遺品300点を集めた美術館で、この館の建設は館主窪島誠一郎氏と画家野見山暁治氏の出逢いから始まった。両氏は先の戦争で「戦死した仲間たちの絵」に共感し、全国行脚で遺族からそれらの作品を集め回った。
平屋建て120坪の十字架形をした私設美術館であるが、その1点1点に志半ばで戦場に散った画学生の魂がこもっている、じっと回って見て涙を誘った。

館主の言葉に


    あなたを知らない

遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのは あなたが遺したたった1枚の絵だ

あなたの絵は 朱い血の色にそまっているが
それは人の身体を流れる血ではなく
あなたが別れた祖国の あのふるさとの夕焼け色
あなたの胸をそめている 父や母の愛の色だ

どうか恨まないでほしい
どうか咽かないでほしい
愚かな私たちが あなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に
今ようやく 五十年も経ってたどりついたことを

どうか許してほしい
五十年を生きた私たちのだれもが
これまで一度として
あなたの絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを

遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのは あなたが遺したたった1枚の絵だ
その絵に刻まれた かけがえのないあなたの生命の時間だけだ


この9月10日に戦没画学生に捧げる哀切の調べとして天満敦子in「無言館」がある。
これらは戦没画学生へのレクイエムである。

一度この美術館を訪ねてやってほしい。

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