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「別れるときが来たみたいね」
「……」
「いつかはこうなると分かっていたでしょ」
「別れると思って、付き合い始めた覚えはない」
「でも分かってきたでしょ、こんな日が来るのを… 」
俺を見捨てたひとを 恨んで生きるより
幼い心に秘めた むなしい涙の捨て場所を
さがしてみたい
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことが なかったこの街で
「何度もここに来たね、あなたと」
「ああ、君が船が見たいと云ったから」
「船に乗ってここを去ることを夢見ていたのかも」
「どうして俺たちこうなっちまったのかな」
「私の想いと、あなたの想いが違っていることに気づいたから」
「……」
「あなたも気づいていたはず」
「若過ぎたのかな、俺たち」
「そうじゃない… 私が先に年老いただけ…」
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カツカツと岸壁にヒールの音が響く
強い風は、凍り付いた俺の心まで持っていくように感じた
想い出にしがみつこうとするバカ者が悲しく思えてきた
せめて一夜の夢と 泣いて泣き明かして
自分の言葉に 嘘はつくまい ひとを裏切るまい
ただ生きるなら容易いかもしれない
でも生きようとするのは決して容易くはない
この違いをようやく俺は学んだようだ
君がいなくなってそのことに気づいた
生きて行きたい
そう感じ始めた
冷え切った心がそう感じ始めた
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことが なかったこの街で
「遠くで汽笛を聞きながら」(作詞:谷村新司・作曲:堀内孝雄より)
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