
詞書の小学版注に、「作者藤原俊成は、安元二(1176)年、六十三歳の時、晩秋九月二十日ごろから重病に苦しみ、同月二十八日、最期が近づいたとあきらめて、出家し、法名(ほうみょう)を<釈阿(しゃくあ)>と定めた。」とある。だから今年の月はひとしお。
ひらかなy122:みおさめと わかれたあきの めいげつに
おもいもかけず またあえるとは
ひらかなs1529:おもひきや わかれしあきに めぐりあひて
またもこのよの つきをみんとは
【略注】○思ひきや=思いもかけなかったことだ。
○別れし秋=(長い詞書から)死を覚悟した(去年の)秋。
○藤原俊成==悠 026(07月28日条)既出。