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オバマの住宅ローン地獄防止策 ‘Plain-vanilla Rules”

2009-06-30 | 米国・EU動向
2009年6月30日(火)


今週月曜日、NY連邦地裁では、元Nasdaq会長Bernard L. Madoff(71)が、巨大なねずみ講(Ponzi scheme)を動かして、20年以上にわたり多数の投資家を欺き、6.5兆円の損害を与えた罪で、150年の禁固刑を科すとの判決が下された。また、NYでは、さらに一件の巨大ねずみ講に絡んだStanford事件が立件され、裁判が開始されている。これらは、摘発されても、されても尽きることのないねずみ講の典型である。

一方、オバマ政権は、全世界で、400兆円以上の連鎖損失が発生する原因となったサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)のように、ローンの条件をよく理解しないままに、実際は返済不能に陥る危険性が高い借り入れ契約をして破綻する悲劇から、一般消費者を保護する政策の導入を模索中である。

新たに新設が計画されているのは、Consumer Financial Protection Agency(消費者金融保護庁)で、貸し手が、複雑な仕組みを十分消費者に説明しないまま、初期の低金利(a lower introductory “teaser” rate)や極端な返済の逓増方式で消費者を釣ることを禁止することなど、住宅ローンに関する監督機能をもたせようというものである。

特に、消費者の理解を意図的に妨げる複雑な、融資契約条件を原則禁止にしようとしている。これをPlain-vanilla Rulesと呼んでいるが、単純明快な条件提示をバニラアイスクリームにたとえたものである。

The Wall Street Journalが、漫画入りで解説する、住宅ローン契約のバニラアイスクリーム方式とは、①銀行は、借り手の年収証明書を確認する、②繰上げ返済を認める、③税や保険料がかかることを明記し、引き当て勘定を設定する、④借り入れ期間、返済日、金利条件、商用費用を全面的に開示するとなっている。常識的には、金銭の貸借では当たり前のことを、ことさらPlain-vanilla Rulesと呼ばなければならないほどに、サブプライムローンは、ある意味できわめて不透明であったことを、公式に認めたということである。

そして、この解説記事の見出しは、”Plain-vanilla rules could melt bank profits” 「プレーンバニラルールは、銀行の収益を圧迫する可能性あり」となっていることがすべてを物語っている。(ここで動詞にmelt「溶かす」を使ったのはアイスクリームに掛けた言葉遊びである)