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イラン選挙後の暴動 Violent clashes erupted across Tehran

2009-06-14 | グローバル政治
2009年6月14日(日)

イランの大統領選挙投票結果、現職のアハマディネジャド氏が改革派のムサビ元首相を大差で抑え再選したと発表されている。しかしテヘラン市内で、緑のTシャツを着た改革派の若者を中心としたデモが次第に暴徒化し、警備当局は黒ずくめの機動隊を投入して力でねじ伏せる挙にでなければならなくなっている。

アハマディネジャド氏は、4人の候補者のうちで、初回投票で62.4%以上を得票するという選挙前の接戦予想を覆した「地すべり的勝利」(the landslide victory)を収めたことを早々と宣言した。一方、ムサビ元首相は、これを「危険な茶番劇」(a dangerous charade)と攻撃している。

投票率が85%を超え、投票時間を延長しなければならないくらい都市部の改革支持派が、投票所に向かったにも関わらず、結果が2:1の大差になったこと。さらには、その結果が投票をしようと並んでいる人がまだいる時間に、早々と発表されるという異常さに対して、若者の怒りが爆発しているのである。「この選挙はいかさまだ(fraud)。うそと独裁("lies and dictatorship")の政府に抵抗しよう」とムサビ氏は訴えている。

当局は、混乱の拡大を恐れて、携帯電話のネットワークを遮断し、Facebookにも閉鎖を命じている。各局のテヘラン市内のデモ鎮圧のTV画像を見る限り、警棒や催涙弾の使用も無差別であり、イラン政権の本質と、民主化の遅れが、世界中に知れわたるという効果を発揮した。

革命防衛隊と呼ばれる秘密警察が、私服で暴徒の後方に回り込み、機動隊の動きとあわせて「暴徒鎮圧」を行うさまは、計画的(well-organized)であり、イスラム革命以前のシャー時代からあった秘密警察の伝統が、脈々と健在であることがわかった。

こうした混乱状況と投票結果操作の疑いを知っているHillary Clinton国務長官は、「米国は、全世界の人と同様に、選挙が投票した人たちの真正な意思と願望を反映したものであることを願っている」(the outcome reflects the "genuine will and desire" of Iranian voters)とコメントしている。ここで、peopleといわず、votersという言葉を使ったのは、「開票結果が正しく反映しているか」と厳しく問いかけているのである。