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オバマ、ついにイラン政府を非難 Stop Crackdown

2009-06-21 | グローバル政治
2009年6月21日(日)

12日の大統領選挙で、現職のアハマディネジャド氏が改革派のムサビ元首相を大差で抑え再選されたとの発表後、毎日テヘラン市内で、「選挙の無効」を訴える抗議行動が続いている。そして注目された金曜日恒例の最高宗教指導者ハメネイ師の「説教」で、「選挙結果の正当性と、抗議行動の不法」を信者に訴えかけた後の土曜日も、抗議行動が継続したことは、イラン政府の統治能力に重大な問題を突きつける事態となった。

イランとの関係改善を模索し、アフガン平定作戦でのイラン協力を必要としているオバマ大統領は、「内政干渉」( a meddling into Iranian affairs)回避姿勢をとり続けてきたが、この事態展開を受けて、ついにもっとも強い調子で(using the bluntest language)、イラン政府に大して、民衆への「不当にして暴力的な弾圧」(unjust and violent crackdown)の停止を要求した。また米国上下院議会も、「民衆弾圧と、インターネット・携帯制限による権利抑圧」への非難決議を行った。

一方テヘランでは土曜日にも、最高指導者ハメネイ師に反抗して、約3000人と伝えられる民衆は、1979年の「イラン革命」を記念して名づけられた、「革命広場」(Revolution Square)から、「自由広場」(Freedom Square)に結集したが、機動隊と平服の「民兵」(militias in plain cloth)の、警棒と催涙弾の圧迫を受けて、「自由通り」(Freedom Street)に追い詰められた。

民衆の叫んでいるスローガンは、「アラーは偉大なり」(Alahu Akbar/God is great)、「独裁者に死を」(Death to the Dictator)、と「ムサビ万歳」(Viva Mousavi)で、腕に緑の腕章を巻き「緑の波運動」(Green Wave Movement)を目指すと気勢を上げている。

イラン政府は、投票の10%を、数えなおす(recount)ことで事態収拾を図ろうとしている。ムサビ氏は、注意深く「暴動扇動者」に仕立てられることを恐れて、行動を自己規制しているように見えるが、「投票箱が事前にアハマディネジャド氏への票が詰め込まれたまま封印されていた」と、選挙の不正を糾弾し、選挙の無効を強く訴えている。

シャーの圧制を、「アラーは偉大なり」を叫ぶ民衆の力で崩壊させたのは、ちょうど30年前の1979年である。インターネットと携帯の時代に、言論弾圧で民衆を押さえ込むことはできない。イランは、重大な岐路に立っている。