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トヨタ大政奉還 Toyota chief pledges shake-up

2009-06-26 | 世界から見た日本
2009年6月26日(金)

創業者豊田佐吉の時代以来の最大の危機に直面する、いまや世界最大の自動車メーカーとなったトヨタ自動車で、佐吉の孫に当たる豊田(Toyoda)章男氏が、正式に社長に就任した。トヨタは、2009年度4,370億円、今年度8,500億円以上の二期連続の赤字を計上する。新社長は、来年度の黒字転換のために「できるだけの手を打つ」(promised to do everything possible)と記者会見で語ったとFinancial Timesが東京発で報じている。

そして、新社長は、黒字転換のためにいくつかの改革(shake-up)を断行することを明らかにしたが、まず本社への「中央集権」(its centralized structure)からの脱却を上げた。この経営手法が、トヨタの新興市場での動きを悪くした(held back in emerging countries)のだとの反省の弁とともに、日本・米国・欧州,新興国の4地域に分割して、4副社長にそれぞれを、より大きな権限を与えられて経営させるという「分権化経営」に転換することを宣言した。

これまでのトヨタの「米国大型市場の偏重戦略」は、米国市場の崩壊に直撃され、一方インド・ブラジルではシェアを3%しか取れなかったという事実に現れた「新興市場軽視」は、新興国市場では「果実の逸失」という形で跳ね返った。そして結果として未曾有の巨額赤字をもたらした。

この過ちを正すために、「世界一律の全車種供給」による「規模の利益」追求型の画一経営をやめ、「個々の市場に最適の限定した車種を供給する」方針に転換することも明らかにした。

豊田章男新社長は、「嵐の中での、どん底からの船出」“beginning our voyage in a storm” “starting from the lowest point”と自らの状態を記者会見で表現した。トヨタは、今期ですべての悪材料を出せるだけ出してしまい、「豊田丸」は、船倉の隠れたごみまで完全に清掃がすんだ状態での出発の準備ができたということでもある。

「大政奉還」後の、「五箇条のご誓文」によれば、王政復古後は中央集権ではなく、地域分権の政体となるということである。トヨタのあたらしい「グローバル戦略」の成否が大いに注目される・