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クリントン、天安門事件20周年声明 both to learn and to heal

2009-06-04 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2009年6月4日(木)

天安門事件は、1989年6月4日に、同年4月の胡耀邦の死をきっかけに、天安門広場に民主化を求めて集結していた学生の平和的なデモ隊に対して、中国人民解放軍が戦車を動員して、無差別発砲をし、多数の死傷者が出た事件である。この広場の占拠は7週間に及び、、政府内の意見も分かれ、各地に反政府デモが拡散するという事態に「体制の危機」を感じた、党中央が弾圧を決定したのである。

20 周年の記念日を前に、香港では6月に入って、5,000人規模のデモによる抗議行動が行われ、近年になかった盛り上がりを見せている。デモ隊の掲げるプラカードには、「平反六四」とか書かれているものが目立つ。「天安門事件の犠牲者の名誉回復」というほどの意味であるという。

この日を前に、米国は中国にガイトナー財務長官を北京に送り、ドル体制維持で中国政府に協力を求め、ワシントンではクリントン国務長官が、米国政府としての公式見解を発表し、「天安門事件の真相を究明し、事実を発表するように中国政府に求める」とともに、「いまだに拘留されている逮捕者の釈放」を求めたのである。

「中国はいまや目覚しい経済的発展をとげ、世界でリーダーシップを発揮すべき地位を得つつある国に成長した。そのような中国(a China)になったのだから、過去の暗い歴史を調査し、死傷者・逮捕者・行方不明者の数について公式に発表すべきときがきたのだ。歴史に学び、過去の痛みを癒すために(both to learn and to heal)」

しかし、中国政府の公式発表では、死者の数は、いまだに200とし、中国政府は、「反革命的暴動」"a counterrevolutionary riot”に対する武力行使を肯定する公式態度を崩していない。ただし世界の世論押されて、少しづつではるが、変化は見られる。

中国政府は事件を「混乱状態」"turmoil" とか「政治的騒擾」 a "political disturbance"と呼びかえるようになり、つい最近では、ついに「天安門事案」"the Tiananmen incident"とさえ呼ぶようになってきた。しかし、中国政府のスポークスマンは、最近「中国政府は事件に対して謝罪(apology)しないのか」という質問に、色をなして「apologizeする」という言葉は不適切(inappropriate)であると反論したのである。

一方、米国ABC放送が、一般の若者に聞いたところ、「20年前のことは、自分たちに関係がない。過ぎたことだ(It's history)」と答えたと報じている。開放経済にすすみつつあった当時の中国で起こった反動的な「天安門事件」と、東欧を解放しソ連を崩壊させた「ベルリンの壁崩壊」が起こったのは、同じ1989年であったことは、現代史の重要な一里塚である。