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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

ゴールドマン幹部議会で、訴追全面否定 A Combative Hearing

2010-04-28 | グローバル企業
2010年4月28日(水)

全世界が注目してきたゴールドマン幹部と社員を召還した上院委員会の宣誓証言が予定通り、火曜日に行われた。

これを受けたNYSEの同行株はわずかに上げた。この議会証言内容は今月に入りほとんどがSECとゴールドマンから開示されてきたので、市場はそれを十分織り込んできたこともその理由のひとつである。

一方、金融株全般とダウ平均株価は、S&Pがギリシャとポルトガルの長期・短期債務に関する格付けを大幅に引き下げ、格付け方向の見通し(outlook)を、ネガティブとしたことを嫌気して大幅安となった。通貨では、ユーロはPIGS諸国のギリシャとポルトガルの国債利回りが上昇し、価格を下げたことを受けて、大幅に下落、円は相対的に上昇した。

議会証言内容は、すでに本欄でも取り上げてきた内容どおりで、新味はなかったが、しかし質問に立った議員の舌鋒は鋭く、The Wall Street Journalは、その様を、「戦闘的聴聞会(a combative hearing)」と表現し、議員たちの糾弾対象は、ゴールドマンが「いんちきカジノ(a crooked casino)で「客をだました(deceiving customes)」こと」であると総括した。

受けてたったゴールドマン側は、首尾一貫して、「まったく違法行為(wrongdoing)はなかった」との趣旨で自己弁護を行った。「破綻した金融商品CDOを組成した過程でも、自らその商品の暴落を予想して空売りを行ったことも、なんら糾弾されるべき行動はなかった」との趣旨である。

注目すべきは、「自社の利益を守ることが株主への忠実な行為であり、その義務からの経営陣の指示に従業員が従ったまで」、「空売りは自社のポジションから来る巨大なリスク回避のための必要な手段」、「リスクを張る投資を誘引して市場活性化を図るために空売りは当然の手段」との主張を、ゴールドマンが繰り返していることである。

顧客に破綻が確実化している金融商品を買わせ、自らはその商品の暴落を見越して逆張りに走ったことを肯定し、破綻確実な住宅金融証券をかき集めてそれをまとめた仕組み証券を組成したことについては、意図的ではなかったと否定したのである。

金融商品を売る主体が、自らの資金を投入して逆張りの空売りに走ることを自社の利益のためと主張することの正当性や、客先にその商品が「第三者の中立アドバイザが、組成したもの」として売り込んだことの客観性の証明が、これから問われていく。

ところで、今回同行幹部のe-mailがSECによって多数公開されて物議をかもしているが、その中でも最も有名になったトレーダー”Fabulous Fab”の証言台での発言は次のようなものであった。

"These emails were personal emails that I deeply regret. They reflect very bad on the firm and on myself."

SECの今後の行動と、オバマ金融改革法案の成否に注目しよう。

ゴールドマンCEO議会証言 Frankenstein Against His Inventor

2010-04-26 | グローバル企業
2010年4月26日(月)

今週火曜日にゴールドマン・サックスのCEO、Lloyd Blankfein氏が、関与した部下とともにSECが訴追している詐欺行為に関して、議会の小委員会で証言に立つ。

厳しい査問が待ち受けていることは間違いがないので、この査問を乗り切れるか否かがゴールドマンの将来を決めるといっても過言ではない。

ゴールドマンは、この議会委員会への召喚に先立ち、すでにSECが一部を公開したゴールドマン社員のメールの全容を、自ら公開した

その中に、SECから会社とともに訴追されて、第一のメールですでに有名になった31歳のトレーダーFabrice Tourr氏の第二の問題メールも含まれている。

第一のメールでは、「市場は崩壊している。生き残るのは自分だけだ」と、自らの優秀さを誇示していたのだが、今回の第二のメールは、同氏が、交際を求めていた女性に送ったものである。

「売りまくった証券は、フランケンシュタインみたいに、考えだした僕に立ち向かってきた。1ヶ月前に100ドルの値がついていたのに、いまや93ドルになった。投資の総額が数十億ドルになっているから、この差額は巨額に膨らんでいる」と、仕組んだ証券の暴落で巨利を得たことにわれながら驚きながら自慢しているのだ。

ゴールドマンは、複雑な仕組みの証券を、市場が上向きのときに売り出したのであるが、市場の流れが変わったところで、暴落を予想して空売りに全力を挙げた。仕組まれた証券の中身を知らされないままゴールドマンから証券を買った投資家は大損をしたことは言うまでもない。

ゴールドマンの幹部は、2007年のこの事態の際、大儲けに欣喜雀躍した言葉を書き連ねたメールを交換していたのである。こうしたメールをあえて公開に踏み切ったゴールドマンであるが、これによると2007年には、CEO自身も、「空売りで儲けたことを誇る」メールを出していることが判明した。

ゴールドマンのスポークスマンは、「e-mailの中身はお恥ずかしい限りであるが、わが銀行が不法行為を働いたという証拠ではない。2007年に1200億円も損失を出している」と強く自己弁護を行っている。

今週は、月曜日にSECが本件に関して記者会見を開いて、翌日の議会証言についての情報の開示を行うが、この月曜日には、オバマ大統領が推進する金融改革法案が、上院での投票に掛けられる。そのタイミング設定から考えると、今回のゴールドマンに対するSECへの訴追や、議会への召喚はこれに合わせた政治的なショーとの一面を否定できない。

ゴールドマンCEOの議会証言の行方が大いに注目される。



ドイツで「ゴールドマンに非難ゴウゴウ」 Goldfinger of Goldman

2010-04-23 | グローバル企業
2010年4月23日(木)

ゴールドマンがドイツに初めて投資銀行として乗り込んだのは1990年である。

本拠地を金融センターのフランクフルトに置き強力なネットワークを同国に築き上げ、大企業と政府・自治体との関係は、金融・証券業界の中で追随を許さないところまで業績を拡大してきた。銀行の規模では、ドイツ国内でドイツ銀行についで2位であるが、外国資本の銀行ではトップの地位にある。

The Wall Street Journalは、「こうした盛名を馳せてきた同社も、SECに詐欺の民事訴追を受けたことが引き金になって、いまや経済界では悪者として集中砲火を受けている」とドイツ発の記事で伝えている。

ゴールドマンがSECに訴追された「詐欺事件」の被害者の中に、IKBドイツ工業銀行が含まれているが、同銀行はリーマンショック前後の金融危機で倒産し、ドイツ政府は救済資金として1.3兆円を救出せざるを得なかったということが背景にある。ドイツ人の同行に対する国民感情へのその影響は大きい。

そして、おり悪くドイツで同銀行はベルリン市と紛争を起こしている最中でもあったので、同行のドイツ部隊は頭を抱え込んでいるという。

ベルリン市の持つ公営住宅会社のIPOを引き受ける投資顧問となっていた「ゴールドマンが、住宅の売却に絡んだ取引を有利にするためにベルリン市を、弁護士を使って恫喝した」と、市側が同社を厳しく非難し、市の幹部は、「ゴールドマンには、避けられるなら二度と仕事を頼まない」とまで公言している。

こうした事件も含めて、業界を押さえてきたゴールドマンの商法は強引なことはつとに有名であった。

保守的で「コンセンサスと譲歩」を重んじる国においては、何かと摩擦が絶えなかったところへ、SECによる訴追があったため、火に油を注いだ格好となった。同紙は「くすぶってきた不満が、声高のゴールドマンたたき」になった(Quiet grumbling is turning into a vocal battering)と表現している。

最近の重要な動きとしては、金融界に対する規制論者としても有名なメルケル首相の率いるドイツ政府は、ゴールドマンが関与する契約をすべて調査することを関係機関に命じた。公的金融機関であるBayernLB,は、SEC訴追を理由にして、ゴールドマンに出していた顧問契約を撤回するという事態も発生している。

さてゴールドマンのドイツの最高幹部はAlexander Dibelius氏であるが、同氏の率いる部隊への評判はすこぶる悪いとThe Wall Street Journalが報道している。同行は、投資顧問をやりながら、一方で顧問先と競合する入札に参加してくるのは日常茶飯事であるという。利益相反の批判に対しては、「負け組みにはそんな問題も起きないということだ」(Only those who don't win any business have no potential conflicts)と答えるのが同氏の口癖であったという。

こうした同氏にドイツのメディアが付けたあだ名は、「ゴールドフィンガー」である。

彼の指揮した仕事でもっとも名高いのは、従業員7万人規模の小売・旅行業のArcandor AGが、2009年に倒産に至る過程の取引である。同行がArcandorから買収したデパート店舗を高値でリースバックし、採算割れを起こさせたのが直接の原因であったという。ゴールドマンは、このケースでは投資顧問・投資家・不動産業者として関与していたというのであるから、利益の相反行為もはなはだしいと非難を受けている。

一方、ゴールドマン関係者は「政治的にスケープゴートにされて、無様なところをさらして(with egg on our face)しまった。今は、ゴールドマンを悪者(the villain)にしておけば安全地帯(no downside)にいられるわけだから不公平もはなはだしいといって、地団駄を踏んでいる」」との趣旨で記事は結ばれている。


オバマ金融規制規制法案とゴールドマン 訴追  Dark Market

2010-04-22 | グローバル企業
2010年4月22日(水)

米国議会上院の金融改革を審議していたパネルが、金融システムが万一混乱しても(meltdown)米国経済への影響を最小限にすることを目指し、また今回の危機の際のように納税者の金で破綻金融金融機関を救済しなければならないという事態を回避することを意図する法案を承認した。

この法案は一般にはわかりにくく、また不正取引の温床とされているデリバティブ取引、それは 民主党議員の言葉を借りれば、「野放図で闇の市場(a currently unregulated, dark market)」ということになるが、それに対する規制をめざすものである。

上院の有力議員はこの法案を、すでに上院銀行委員会で承認されている金融規制強化法案と合体させて、上院可決に持ち込みたいとしている、とCNNが速報している。

金融機関の規制に情熱を傾けるオバマ大統領は、木曜日にNYに向かうことになっている。この法案の通過は、まさに共和党がオバマ大統領の規制強化策に反対するよすがとしてきた『厚い壁』に走った最初の亀裂であるとThe New York Timesが論評している。

上院共和党は、この動きを「民主党に譲歩させた」といっているし、民主党は「共和党はただただ、国民の反発を恐れて早々と、矛を収めた」といっている。

いずれにしてもこのところ米国政界を支配してきた二大政党間の対立激化は一応の軟着陸を見たともいえる。ただ、両党間でどのような裏での取引があったのかは公にされていないし、今後二つの法案がどのように一本化されるかは予断を許さない。

ただいえることは、先週金曜日に、本欄でも継続して取り上げたゴールドマン・サックスをSECが詐欺のかどで訴追したことが、この法案承認に大きく影響を与えたことは間違いがない。

そして今週発表になったゴールドマンとシティバンクが巨額の黒字決算を発表したことも無関係ではない。あれだけウォールストリートの代弁者といわれてきた共和党が、ガラッと態度を変えたのである。

このパネルが承認した法案には、金融システムへの脅威に対する「早期警戒警報」(early warning)と設置と、5兆円の民間資金を基にした破綻金融機関救済ファンドの設置が含まれている。もし金融機関が破綻した場合、たとえば今回の金融危機でAIGがデリバティブ取引で破綻を来たしたような例を防止するために為替レートのスワップ取引は、外為市場を介すること、第三者の担保があることを条件つけることになる。

オバマ大統領は、救済資金に民間金融機関に拠出を求めることは、政府の規制力をそぐものとして反対しているので、今後共和党との修正案作成に当たっては、このあたりが駆け引きの焦点になろうと、NYTは予測している。

ゴールドマンサックスの訴追は、ある意味で、オバマ大統領とSECの阿吽の呼吸によって行われたと見るのはあながち間違ってはいない。金融改革が叫びはじめられたのは、2007年の中半であるから、すでに3年が経過した。

そして英国では5月6日の総選挙を控えて、ゴールドマンたたきが激しい。ドイツでも、メルケル首相も強い姿勢で臨んでいる。日本は、もっと政権の存続にかかわる別の問題で忙しい。



ゴールドマン訴追、『準主役』Paulson猛反撃 A Wells Notice

2010-04-21 | グローバル企業
2010年4月21日(水) 

今回のSECによるゴールドマンサックスとその社員1名に対する詐欺容疑での訴追に関して、重大な役割を果たしたとされているが、訴追に値する問題行動(any wrongdoing)はおこなっていないとされている、John Paulson氏が率いるヘッジファンドが、投資解約期限を控えて発言を始めた。

ファンドへの投資家の中には、「問題行動があるならば」、「将来司直の手が入るならば」投資を引き上げるとするところが相次いでいるためである。

まず、投資家に対しては「現在政治的、法的な渦中(political and legal vortex)にいるが、必ずや無傷で(unscathed)で復帰する」と宣言した上で、今週月曜日に100を越す「ゴールドマン訴追以降資金を引き上げる可能性のある」顧客に電話会議を行い沈静化を図ったとThe Wall Street Journalが伝えている。

しかし、ポールソン氏の投資対象の株価は、「訴訟発表」以来軒並み下げている。またポールソン氏の投資対象に影響が出るとされている、カナダの投資ファンドPropel Multi-Strategy Fundの上場が延期されるという事態も出ている。

月曜日の夜の電話会議で、投資家の一人がポールソン氏に、「ファンドの誰かが、いわゆるWell’s Notice(SECの訴追対象への事前通告書)を受けとっているか」と質問したところ同氏は否定し、「本件はわれわれから投資家が逃げるようなものではない(distraction)。この騒動もそのうち鎮静化するはず」と回答したという。

投資家の間では、海外の規制機関も含めてさらに捜査が拡大することをに対する恐れが高まっている。そうした場合に備えて出資金を引き上げたいとの慎重姿勢をとろうとするのもうなずけるところである。

「電話を掛けてくる人の中にはまるで捜査官のような尋問口調の人もいる。しかし大体は、ファンドには協力的な態度で臨んでくれている。ポールソン氏に問題がなかったと確信している。出口に押し寄せるということではない」とのいくつかの内部のコメントが紹介されている。

ポールソン氏は火曜日に至って、投資家に対して書簡を送り、「2007年にはわれわれは、経験の深い住宅ローンへの投資家とはみなされていなかった。市場の優秀な投資家の大勢はわれわれに逆張りをしようというムードであった」と説明している。

投資家の方でも、「ポールソン氏の手法は、投資家が解約を図ってもそれが、ファンドの価格を押し下げに直結するようなものではなかった」と語っているという。

「ゴールドマンとの取引では、住宅ローンに関しては、空売りポジションを張ったが、こうした取引では買い持ちか、空売りかいずれかのポジションを持つのは当たり前。このファンドを買った投資家は格付け会社の各付けを鵜呑みにしたので、勉強不足であったということだ」と冷静に説明したという。

ポールソンのファンドの投資家が6月30日までに投資を引き上げるか否かの決定期限は金曜日に迫っている。同ファンドの償還請求期限は2ヶ月前と設定されていて、年4回決定の機会が与えられている。

ポールソン社と同じく2007年に住宅ローンベースのファンドを組成したMagnetar Capital LLCも投資家の動揺への対応に追われている。同ファンドには7000億円の投資金が投入されている。同ファンドの責任者は、「個々の投資家のカネが、どのCDOに投入されていたかは把握していない」と管理手法を説明している。

The Wall Street Journalは、「Magnet Capitalに対する捜査は続行されていて、それが顧客投資家にどう影響するかはまだわからない。同社の挙動については、2008年1月以来取り上げてきた。今週になって同ファンドは、『われわれの住宅ローンをベースにしたCDOの組成に当たっての判断は、統計モデルによる相場予想に立脚するものであって、住宅ローン市場が崩壊すると読んだわけではない』と説明している」という解説で記事を結んでいる。


ゴールドマン・サックスを詐欺でSECが訴追 Fabulous Fab

2010-04-17 | グローバル企業
2010年4月17日(土)

SECがGoldman Sachsを詐欺容疑で訴追したことから、金曜日のNY株式市場で同社株は10%以上値を下げ、これを嫌気した市場も大幅安となった。

米国証券取引委員会(SEC)は、金曜日Goldman Sachsと、同社の当時の担当副社長Fabrice Tourreを、サブプライム住宅ローンをベースとした債務担保証券CDO(Collateralized Debt Obligations)を、「破綻することを仕組んだ上で」投資家に十分な情報を提供せずに販売して、10億ドルの損失を与えたとして、詐欺に関する民事訴訟(a civil suit)を裁判所に提起した。

SECの訴状を要約すれば、「Goldman Sachsは、必ず破綻するように極秘に仕組んだ証券を売りつけた。ヘッジファンドPauson社が仕組んだものにも関わらず、あたかも公平な第三者が公正に選択した信用度の高い住宅ローンをベースとするものであると思わせたことが詐欺に相当する」ということになる。

Paulson社は、サブプライムローンの破綻を予想して、空売りのポジションを持っていたので1000億円の利益を得、一方投資家は1000億円の損失を蒙り、Goldman Sachsは、15億円の手数料収入を得たと、SECは算定している。

2007年に売り出されたCDO、ABACUS 2007-AC1は9ヶ月間で組み込まれた債務の99%が信用格付けがひき下げられて実質的に破綻した。

会社とともに訴追されたTourreは、現在31歳。フランスのEcole Centrale Parisで学士号を取得後、Stanford Universityで、オペレーションズ・リサーチで修士号を取得。2001年にGoldman Sachsに入社して、仕組み証券の担当副社長となったと、その経歴をThe Wall Street Journalが伝えている。

同氏は、混乱の中で友人に次のようなメールを送っていたとSECが公表している。

「この建物全体は今にも崩壊する。生き残る可能性のあるのはただ一人、あのすばらしいFabulous Fab(rice Tourre)様一人。この複雑怪奇にして(complex)、人の金で組んだ(highly leveraged)、不可思議な取引(exotic trades)は、彼の生み出したもの。彼にさえこの怪物の正体はよくわからんときたもんだ。(without necessarily understanding all of the implications of those monstruosities(まま)!!!!")」

このメールほど、Wall Streetで、サブプライムローンの崩壊をきっかけとする金融危機を作りだしたカネの亡者どもの本音を活写しているものはない。崩壊感覚を味わいながら、自分の名前で駄洒落を飛ばし、フランス人特有のmonstrosityをミススペルしてところも笑える。

Goldman Sachsは、自らも90億円の損失を蒙っており、「SECの訴追は事実無根」と公式に反論をしている。不思議なことに関与したヘッジファンドPaulson社は訴追を免れているが、SECの説明を読むと、「投資家にいかなる説明(representation)をしていない)として、詐欺行為の関与者として認定しないということらしい。

Goldman Sachsは、もうひとつの金融商品CDSで、ギリシャという国家の財政を破綻に追いやったとして、一身に非難を浴びている最中である(2月26日の本欄記事参照)。今回CDOに関する詐欺罪での訴追を受けたことは、リーマンショック後の唯一の生き残り投資銀行にも、いよいよ「最後の審判」が下りるということかもしれない。

オバマ、核拡散防止でリーダーシップ確立 We cannot drift

2010-04-14 | グローバル企業
2010年4月14日(水)

最終的には49カ国の参加を得た、核安全保障サミット(the nuclear security summit)は、2013年までに、核物質の世界的規模での管理体制の確立を目指すオバマ大統領の目的どおりに、最終コミュニケを採択して成功裏に終了した。

次回は、2012年に韓国で開催することが決定したがこれには、「北朝鮮が核兵器開発を放棄し国際社会へ復帰すれば招待する」という、北朝鮮への重要なメッセージが含まれている。

また、中国の胡錦涛は総会席上では、核兵器開発疑惑に関する国連のイラン制裁強化には触れなかったが、オバマ大統領との首脳会談では「協調する」ことを表明している。

オバマ大統領は、総会冒頭で演説し、「核物質の違法取引は増えており、世界の安全への懸念は増大している」として、核物質の貯蔵に関する情報交換を強化し、(まだ極少数の国しか批准していない)国連の核物質管理に関する決議(the UN’s Convention on Physical Protection of Nuclear Material)の遵守を呼びかけた。

さらにアルカイダのようなテロリスト集団が、核爆弾を入手しようと躍起になっている現状を警告し、「世界の安全と生存のためには、ためらっている暇はない(We cannot drift)」と結束を訴えた。

そして、「21世紀の問題は、国家が単独では解決できない。世界全体で解決しなければならない」と語り、ウクライナ、カナダ、マレーシアが自発的に、高濃縮ウランの放棄を含む核物質拡散防止策にとりくむことを表明したことを高く評価した。

また、中国とインドが、核物質の国際管理センターの自国内での設置を提案したことも注目される。

こうした取り組みは、核軍縮・核拡散防止目的のみならず、原子力発電が脱炭素電源としてこれから世界のエネルギー供給の大部分をまかなう時代が到来することが予想される現在、その安全保障問題面での重要な条件整備であることを注目する必要がある。

世界は一歩前進した。



iPad人気さほどでもなし Early Crowds; Lines Thin Out Later

2010-04-05 | グローバル企業
2010年4月5日(月)

The Wall Street Journal は、「Appleは土曜日に新製品タブレットコンピュータiPadの発売を開始したが、週末に準備していた商品を売り切るということは無かった模様である」と、New Yorkの旗艦店(Apple’s flagship retail store)を始めとする全米各地での売れ行きをもとに推測している。

サンフランシスコや、南部のシャーロット、ダラスなど各地の直販店では、早朝の開店時には長蛇の列があったものの、早々に騒ぎも収まり(The hubbub died down pretty quickly.)、行列は徐々に途切れた(Lines thinned out later.)と伝えている。

販売店における賑わいが大きくなかった理由として、予約販売を3月からオンラインストアで受け付けそれを宅配としたことや、今回新発売の499ドルの機種には、3Gの携帯電話インターネット接続機能が無く、これらの機能を搭載した629ドルの製品の販売開始は今月末になることなどがあげられている。

iPadの先週末の売り上げは、20万から30万台であったと専門家は見ている。Appleの計画では、2010年代の売り上げは国内280万台、全世界で710万台となっている。2012年の売り上げは2100万台と計画されている。

さて、技術革新が常に経済のドライバーとなってきた米国経済にとって、今回のiPadの登場はどのような意味を持っているのかは大いに興味が持たれるところであるが、オバマ政権の期待はそれほど高くないことが明らかになった。

全米ネットNBC放送の人気番組“Meet the Press”に、iPad発売当日の放送に出演した、Christina Romer大統領経済顧問は、キャスターの「iPadのような人気商品が消費を刺激し、景気回復に力を発揮するのでは?」との問いに対して、まったくiPadのことには触れず、「今次の景気回復に、消費の貢献する余地は少ない」との趣旨で回答した。

NBC放送の電子版には、やり取りのスクリプト全文が掲載されているが、それを読むとオバマ政権は景気回復の原動力は、GDPの70%を占める「消費回復」には期待をおかず、「輸出回復」と「企業投資増大」を最重点においていることが鮮明に現れている。

Christina Romer顧問は、「そのために、大統領は、輸出振興策を打ち出し、中小企業投資減税策を打ち出している」と強調している。人民元切り上げを強く打ち出し始めた米国政府の対中政策はまさに、輸出による国内景気浮揚という狙いがこめられている。



グーグル、中国撤退宣言A Non-negotiable Legal Requirement

2010-03-23 | グローバル企業
2010年3月23日(火)

グーグルは月曜日、中国での自己検閲と検索事業を停止すると発表し、中国本土で中国版サイトにアクセスすると自己検閲を行っていない香港版に自動転送される仕組みに変更した。

同時にグーグル側は、「中国政府と検閲について折衝してきたが、中国政府は自己検閲を、交渉の余地の無い規制(A Non-negotiable Legal Requirement)であるとの態度を変えず、やむなくサービス中止を決断した。中国政府は、香港への転送サービスをいつでも遮断することはできるだろうが、われわれのこの処置を尊重してもらいたい」と語っている。

米国側でのグーグルの撤退宣言は、北京時間の午前3時であったため中国政府の反応はまだ出ていないが、香港サイトへのアクセスを遮断する公算は高い。ちなみにYouTube、 Facebook、 Twitterへのアクセスは中国政府によって現在遮断されている。

The New York Timesは、「自己検閲があっても、中国にサービス提供を行うことによって情報を中国国民に提供できるし、いつかは検閲制度も緩和されるだろうとのグーグル社の過去4年にわたる期待は破られた。中国政府は情報統制をここ数年逆に強めてきており、今回のグーグルの問題は、中国政府の外国企業への締め付けと、自国企業の保護政策の表れ(a symbol of a worsening business climate in China for foreign corporations)と取る向きがある」と論評している。

また、一方「グーグルの中国国内でのシェアは、Baido.com(百度)の66%に対して、33%に過ぎず、この撤退は売り上げが2.3兆円に達するグーグルの当面の業績にほとんど影響は無いというのが今回の決定の背景であろうが、4億人のインターネットユーザーが存在しなお拡大する中国市場からの撤退は、中長期的には大きな影響が出るだろう」との、アナリストの分析を同紙は伝えている。

人権擁護団体や、中国の民主化を求めるグループは相次いで、グーグルの決定を賞賛している。しかし、ビジネスの立場から、「中国政府を無用に刺激する愚かな決定」(a foolish business decision that has unnecessarily embarrassed Beijing)との批判も半ばしている。

時を同じくして今週、上海では世界有数の英・豪資本の鉄鉱石会社Rio Tinto社員に対する贈賄事件の判決公判が始まっている。この判決と、香港のGoogleサイトへの中国政府の処置は、対中ビジネスを行うグローバル企業にとってきわめて重要な意味を持つ。




リーマン報告書、ウォールストリートを直撃 Window-dressing

2010-03-13 | グローバル企業
2010年3月13日(土)

Lehman Brothersの破産に関する法廷監査人Anton Valukasが1年の調査を経て作成した2200ページに及ぶ報告書が,木曜日に公開されて、欧米の金融界を直撃している。

Financial Timesは、本日の第一面に、「リーマンファイル、ウォールストリートを揺るがす」として報じ、さらに第2、第3面の全面を使って詳報している。New York Timesも、やはり「報告書、リーマンの破綻隠蔽を明るみに」との見出しをつけて、リーマンの粉飾決算の手口を詳報し、問題点を正面から報道している。

しかし、The Wall Street Journalは、「リーマンの刑事告訴は困難か、と法律専門家」との見出しを掲げてこの報告書の扱いを小さくして業界寄りの報道振りである。

この報告書では、2008年のいわゆる「リーマンショック」と呼ばれる、同行の破綻に関して、CEOであったDick Fuld氏と3人の幹部役員、さらに監査法人のEarnst & Youngの粉飾決算に対する責任が追求されている。

「Fuld氏らが株主からの付託に反したこと、そしてE&Y社は反職業的行為(professional malpractice)を行ったことの十分な証拠が存在するとの結論は、信用を地に落としている銀行界への更なる打撃となる」とFinacial Timeは論評している。

今回、株主、格付け機関、規制当局に知らさず行われた取引は、その報告書の中で「粉飾(window-dressing)」や「会計操作手口(an accounting gimmick)と呼ばれている。その取引とは、Repo 105と呼ばれているもので、これを使うことによりリーマンは500億ドル(5兆円)の負債をバランスシートから故意にはずしていた。

Repoでは、ある銀行が他行に担保を差し出して、その期間に見合った利息を支払って、現金を入手する。中央銀行の資金調節目的や、銀行間で短期資金を融通しあうときに通常用いられているものであるから、一見違法性は無い。しかし今回リーマンは、その取引を、「借り入れ」という金融取引ではなく、債権の売買に偽装した模様である。

これによって5兆円もの負債がバランスシートから姿を消し、借り入れ比率(leverage)を下げることにより、財務の健全性を装い、格付けの切り下げ(downgrades)を免れ、資金調達を容易にし、借り入れ金利を安く保とうとしたわけである。

この取引の合法性を保証する法律事務所は米国には無く(または米国で表ざたにするのを避けて?)、英国の法律事務所による意見書を、英国子会社を使って入手したことも今回判明した。

このリーマンの取引の相手方は、Barclays, UBS, みずほ, 東京三菱UFJ, ABN Amro (現在は Royal Bank of Scotlandに吸収されている) とKBCであり、邦銀2行も含まれている。これらの銀行はFinancial Timesの取材を拒否している。

こうした、粉飾決算はEnronやWorld Comのケースでは刑事訴追を受けた。今回は見かけ違法性がないので、訴追は無理というのが、The Wall Street Journalが言外にとる立場である。一方Financial Timesはその場合でも、SECが株主への詐害行為で民事訴訟に訴える可能性が高いとの見方を示している。

Dick Fuld氏は、「下がやったことで、自分は知らない」との立場を取っている。



賢人バッフェット曰く、『他人の尻ごみは好機』 A Climate of Fear

2010-02-28 | グローバル企業
2010年2月28日(日)


『投資の神様、オマハの賢人(Oracle of Omaha)』と呼ばれるバッフェット氏は、その率いる世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の株主総会を、資本家のウッドストック(Woodstock for Capitalists)と呼び、 グループ発祥の地ネブラスカ州オマハに多数の株主を集めて開催する。その有名な大規模株主総会を今年は5月1日とすることを、土曜日に発表した株主への書簡の中で明らかにした。

Berkshire Hathawayのホームページを開くと1965年の創立以来のバッフェットの『株主への書簡』を読むことができるが、この土曜日に発表された今年の書簡は、リーマンショックに代表される経済の大混乱を、グループがたくみに乗り切ったという自信に満ちている。

一方、『賢人』は、「会社は、投資判断の誤りによって問題化させた経営者に、厳しい罰(harsh Penalties)を与えるような制度を導入すべきだ」とその書簡の中で訴えかけ、「リスク投資で損失をもたらしたCEOと彼らを指名した取締役会は等しく引責すべき」と主張している。

「リスクを正しく管理できないものは、CEOに就任する資格がない」と言い切り、会社を破綻させて政府に救済されるような事態に及んだ巨大金融機関のトップと取締役会の責任は重大だとして、まずその責任をCEOに取らせなければ、取締役会は結果を持っていくところはないのだ」と現状を嘆いている。

「彼自身は会社の投資に責任を負っているし、自分の資産の98%は、Berkshire Hathawayの業績に連動している」と自らの会社との関係を説明している。また相場の変動でいくつかの損失案件があったことを率直に認め、その上でかなりの部分がヘッジによって救済されたことや、CEO交代によって果断な処置をとったことが奏功したことを株主に説明している。

彼の短期的キャピタルゲインではなく長期的な投資のリターンを求めるという基本方針と、市場で割安にしか評価されていない株に集中投資をして投資収益を極大化する戦略は今年も貫徹されている。Burlington Northern鉄道への投資がその具体的な結果である。

バッフェット氏は、『恐ろしい空模様は投資家の最良の友』と表現する。「今は買いどきなのです。みんなが尻ごみしているときこそ投資家は出動するときなのです」(It's been an ideal period for investors: a climate of fear is their best friend )



ゼロックス新CEO、51歳黒人女性Burns氏始動 Fearlessness

2010-02-22 | グローバル企業
2010年2月22日(火)

ゼロックスの経営トップの座は昨年7月に、当時のCEOであったAnne Mulcahy氏から、Ursula Burns氏に受け継がれた。

Mulcahy氏は、女性CEOとして倒産までささやかれたXeroxの経営を立て直したことでその名を馳せているが、新CEOのBurns氏は51歳の黒人女性である。この人事には、米国社会のみならず、米国企業文化の面でも大きな意味がある。

Mulcahy氏が、会長職に退いて、経営実権はBurns氏に昨年移ったはずであるが、CEOの彼女は目立たない姿勢を貫いて、戦略的な企業買収となるAffiliated Computer Sevicesを6400億円で買い取るための交渉に専心してきた。

そして、ようやく初めて先週フロリダで開催された代理店会の席上で、多数の社員をも前にして彼女の経営思想を発表したが、終日密着取材をしたThe New York Timesの記者が、詳報している。

「マンハッタンの貧民地域で、母子家庭の子供として育てられたが、その母親の教育熱心さと、貧しさの中で誇りと希望を失わない気概、楽観的で地に着いた生き方が、彼女をここまでにしたのだと、母親に感謝する」と、彼女は回想している。

さらに読み進むと、1980年に入社した生え抜き社員として、出世階段を駆け上った彼女の社歴は波乱万丈であったことがわかるが、今回、「2000年に彼女が当時の堕落したXeroxの状況に失望して転職を決心したときにそれを押しとどめたのが上司の言葉であった」と社員に伝えている。

それは「自分をそこまで育ててくれた会社に、会社を変えることで恩返しせよ」、「やめるなら、会社への借りを返して貸借をゼロにしてからだ」(get to zero)という言葉に揺り動かされたのだという。

彼女がこのエピソードを語るとき、母親の“Stuff happens to you, and then there’s stuff that you happen to.” という言葉を引用したが、これは「これまでは向こうがあなたに何かをしてくれたのだから、今度は向こうに何かをする番だ」という意味である。文法的にはおかしい表現だが、(無学の)母親の真情がよく伝わってくるとのNYT記者の解説がついている。

そして、彼女は社員に、「Xeroxを家族と見て仲間意識で働こう」と協調精神を説く一方、「遠慮をするな、萎縮するな、恐れるな、”Fearless”であれ」と社員の士気を鼓舞した。もともとずけずけとものを言った彼女は、リーダーシップの重要性を叩き込まれるとともに「出世階段を上るには、言葉に気をつけろ」と厳しく教育を受けた。しかし「ある時点でそれをやめて、自分らしい言葉で訴えることに変えたのだ」とも披瀝している。

米国では、金融資本主義の崩壊以後、企業文化にも大きい変化が起こりつつあるようだ。


米軍、アフガンでタリバン掃討大攻勢 We will not leave

2010-02-16 | グローバル企業
2010年2月16日(火)

米軍を中心とする同盟軍は、アフガニスタン政府軍と共同して、南部のタリバン拠点に大攻勢をかけていて、この8年間でもっとも激しい戦闘が土曜日以来すでに3日以上続いている。投入された兵士は15,000人以上で、その3分の1はアフガニスタン兵士である。

地上戦闘部隊8,000人のうち4,000人が海兵隊の精鋭部隊。このほかに支援部隊の7,000人が投入されている。対するタリバン側はこの地域の農村部に潜伏する約1,000名のうち400名が中核戦闘部隊を構成しているが、3日間の戦闘で、タリバン側は約半分の兵士が殺害されるか、逃亡したと伝えられている。

カルザイ大統領のアフガニスタン政府は、タリバン側に投降を呼びかけるだけではなく挙国一致で新国家建設に参加するように懐柔を図ろうとしている。

また政府軍は、タリバンの報復を恐れる住民に対して「今回は現地にとどまる」("We will not leave,")と宣言しているが、これまで政府軍がこのタリバン制圧地域(Helmand province)に進出しても、すぐに引き上げてきたことから、地域住民は政府軍の決意の程には懐疑的な態度を崩していないという。

一方、アフガニスタンで大規模作戦が展開される中、パキスタン側で大きな動きがあった。

タリバンの事実上のNo2と目されているMullah Abdul Ghani Baradarが、パキスタンの首都カラチで、CIAとパキスタン諜報部の共同作戦の結果逮捕されたのである。パキスタン政府がタリバン掃討に非協力的であったこれまでの歴史を塗り替えるものとして注目されている。

パキスタン軍は、米軍引き上げ後を視野に入れて、対インド政策の一環としてアフガニスタン進出のために彼らを利用しようとする野心があり、掃討するどころか、その自由往来を黙認してきた。逮捕地が首都カラチであることが何よりも雄弁にパキスタン側がタリバンを泳がせていたことを物語っている。

The New York Timesは特ダネとしてこの逮捕を報じているが、ホワイトハウスの要請で発表を控えてきたとしている。Baradarの尋問は両方の諜報機関が当たっているが、米側はオバマ大統領による拷問禁止令がある。一方パキスタンはその恐ろしい拷問では世界に名を馳せているとして、拷問による自白を迫っていることを暗示する言葉で記事を締めくくっている。


元タイムワーナーCEO、16兆円のドジを謝罪 Mea Culpa

2010-01-10 | グローバル企業
2010年1月10日(日)

2000年1月に、Time Warner(TW)社が1640億ドル(約16.4兆円)でAOLを買収し『今世紀最大のM&A、メディアの巨人誕生』と喧伝された。

しかし、この取引はその2年後に、ワシントン・ポスト紙の報道をきっかけに司法省とSECが調査に乗り出した結果、一転してTW社にとって、約10兆円の償却損の計上を余儀なくされるという空前の大問題に発展した。

TW社は、昨年末に完全にAOLを切り離したが、その時点でのAOLの価値は、3500億円から4200億円の間まで減価したと算定された。TWがAOLの亡霊と縁を切るのに10年を要したのである。

ここでまた意外な動きがあった。当時のCEOでこの買収の責任者であったJerry Levin氏が、このほどこの「史上最悪の取引」の責任はすべて自分にあると認め謝罪したのである。

「この取引を取り仕切ったのはほかでもないこの私だ。いまや責任を取るべき人間が進み出て、認めるべき時が来た。私が引き起こした迷惑と損失に対して心から謝罪したい。

このドジは、すべて私の責任だ。役員会、銀行家、弁護士、それにAOL創始者のSteve Caseの責任では決してない。AOLの買収そのものはすばらしいものであった。しかし、社内の冷静な声によく耳を傾けなかったのは痛恨の極み」と結んだ。

一方、同氏は、「今回の金融危機を引き起こした巨大金融機関のトップたちも自分に倣って、自分たちの犯した誤りを認めるべきである」と、その非難の矛先をCitigroup、AIG、GE、Lehman Brothers、Bear Stern、Merrill Lynchの経営トップに向けた。

その意味では、すでにGoldman Sachsのトップは責任を認めている。またGEのCEO Jeff Immeltは、「自分たちの経営者世代は、卑しくも暴利を求めることに溺れた」と反省の弁を語っている。

2000年代は、金融資本主義の興隆と没落の10年として、歴史に記録されるはずである。Jerry Levin氏は、その没落編の序章を書き始めた。


GE、NBC売却で8000億円の利益創出 $8Bn Gain from Spin-off

2009-12-04 | グローバル企業
2009年12月4日(金)

米国のメディア産業の再編に非常に大きな変化をもたらす可能性の大きい企業売却・統合が行われる。

GEが事実上支配する三大放送ネットワークのひとつNBCU(NBCユニバーサル)と、米ブロードバンド(高速大容量)インフラ大手のコムキャスト(Comcast)のCATV部分が合体し、新NBCUとすることで両者が合意した。

それと同時に今年3月から行われてきたこの大型M&Aの構造も明らかになった。まずNBCUの総資産は300億ドル、総負債は91億ドルと算定された。これを現在GEが80%、フランスのメディア大手のVivendiが20%保有しているので、まずGEが、Vivendi株を58億ドルで買収し、100%支配下に置く。

そして、Comcastはその72.5億ドルと算定されたCATV資産と、キャシュ65億ドルを拠出し、新NBCUの51%の株式を取得して支配権を取る。GEは49%の株式保有を継続するというものである。

しかし、この総資産372.5億ドルとなる新NBCUという放送・CATV複合メディアの出現に対して、今後議会や独禁法監督機関の厳しい審査(tough scrutiny)が待ち受けているとFinancial Timesは報じている。

GEのImmelt会長は、CNBCの記者会見で、「再投資にまわせる資金は、このNBCUの部分売却後で、250億ドル(約2.5兆円)に達すると発表したことに基づき、Financial Timesは、この売却で得た収益は80億ドル(約8000億円)と計算している。

同紙は、この資金は、今週落札に失敗したフランスのAreva社の送・配電機器製造部門の買収資金に充当を予定されていたものと推定している。

余談。GEは、コネチカット州フェアフィールドに本社を置くが、NYにはNBCが入る30 Rockefeller Plazaにも豪奢な事務所を構え、屋上にはGEのロゴを燦然と輝かせている。

もともとこのビルはNBCの元のオーナーであった電気通信機メーカーのRCAが所有していたものを、GEが1986年に4億ドル以上で買収したものであるが、それ以後GEのシンボルタワーとなってきた。

ABC放送は、「GE幹部はNBCの支配権を売却後も、この事務所とロゴを残すことに執着」していることに対して、"CEO Ego"との批判が出ていることを伝えている。