2010年5月6日(木)
4月20日におきたルイジアナ州沖の原油掘削リグ(the Deepwater Horizon)の火災事故から発生した原油の流出は、対策に当たっているBPが、漏洩していた3ヶ所のうち1ヶ所をふさぐことができたとしているものの、なお日量5000バーレルの割合で続いている。
そして海面の油膜が、水曜日に同州最南端の岬に到達したとUSA Todayが速報している。
オバマ米大統領は2日、メキシコ湾の原油流出事故現場を視察し、「前例のない環境災害になる恐れがある」と語って、流出の広がりに強い懸念を示したが、このように現時点で流出を完全に止めるめどは立っておらず、空前の環境汚染事故になる公算が高い。
この事故に関する損害はすべてBPに支払わせると、オバマ大統領自身が公にし、またBPも「正当な損害はすべて賠償する」と言明している。すでにBPは対策に毎日7億円を支出しており、Louisiana、Mississippi、Alabama および Floridaの各州に25億円を費用の仮払いを行っている。
この事態を受けて、BPの株価は急落しており、5月4日時点で、時価総額が事故前の水準から2.8兆円減少する事態となっている。
ある試算によると、油井一本あたりの費用を100億円、毎日の支出が10億円で180日続くとして、総額約2000億円程度、そしてこれに損害賠償を加えても3000億円程度ではないかとしている。過去の大規模原油流出事故での損失総額が2500億円レベルであることに比較しても、BPが失った時価総額はあまりに大きすぎるとFinancial Timesが論評している。
一方、BPのCEOトニー・へイワード氏は、「トヨタや、ゴールドマンの首脳が最近米国議会で、いわば袋叩きにあったようなことを避けたい」として、米国議会にも3回も足を運んで世論対策に躍起となっていると、The Wall Street Journalが伝えている。
また1989年にアラスカでタンカー事故から原油流出を起こしたExxon Mobilの当時のCEOが現地にもワシントンにも訪問するのが遅れたことで非難を浴びた轍を踏みたくないとの思惑があるとも論評している。
BPのスポークスマンは、「こんな事故を起こしたときは、dilatory(時間稼ぎをしている)、 obfuscatory(あいまいな言葉でごまかす) legalistic(法律論を持ち出す)などと見られるのは得策ではない」とコメントしている。英国式に難解な言葉を持ち出しているが、CEOの行動への説明としては語るに落ちたの感がある。
いずれにせよ、今回の事故をきっかけにして、今後の深海石油掘削の安全性を根本から見直す必要がありそうだ。ブラジルの沖合いなどで進められている深海油田開発は、事故時の対応策などを含めて計画はすべて再検証が必要である。
4月20日におきたルイジアナ州沖の原油掘削リグ(the Deepwater Horizon)の火災事故から発生した原油の流出は、対策に当たっているBPが、漏洩していた3ヶ所のうち1ヶ所をふさぐことができたとしているものの、なお日量5000バーレルの割合で続いている。
そして海面の油膜が、水曜日に同州最南端の岬に到達したとUSA Todayが速報している。
オバマ米大統領は2日、メキシコ湾の原油流出事故現場を視察し、「前例のない環境災害になる恐れがある」と語って、流出の広がりに強い懸念を示したが、このように現時点で流出を完全に止めるめどは立っておらず、空前の環境汚染事故になる公算が高い。
この事故に関する損害はすべてBPに支払わせると、オバマ大統領自身が公にし、またBPも「正当な損害はすべて賠償する」と言明している。すでにBPは対策に毎日7億円を支出しており、Louisiana、Mississippi、Alabama および Floridaの各州に25億円を費用の仮払いを行っている。
この事態を受けて、BPの株価は急落しており、5月4日時点で、時価総額が事故前の水準から2.8兆円減少する事態となっている。
ある試算によると、油井一本あたりの費用を100億円、毎日の支出が10億円で180日続くとして、総額約2000億円程度、そしてこれに損害賠償を加えても3000億円程度ではないかとしている。過去の大規模原油流出事故での損失総額が2500億円レベルであることに比較しても、BPが失った時価総額はあまりに大きすぎるとFinancial Timesが論評している。
一方、BPのCEOトニー・へイワード氏は、「トヨタや、ゴールドマンの首脳が最近米国議会で、いわば袋叩きにあったようなことを避けたい」として、米国議会にも3回も足を運んで世論対策に躍起となっていると、The Wall Street Journalが伝えている。
また1989年にアラスカでタンカー事故から原油流出を起こしたExxon Mobilの当時のCEOが現地にもワシントンにも訪問するのが遅れたことで非難を浴びた轍を踏みたくないとの思惑があるとも論評している。
BPのスポークスマンは、「こんな事故を起こしたときは、dilatory(時間稼ぎをしている)、 obfuscatory(あいまいな言葉でごまかす) legalistic(法律論を持ち出す)などと見られるのは得策ではない」とコメントしている。英国式に難解な言葉を持ち出しているが、CEOの行動への説明としては語るに落ちたの感がある。
いずれにせよ、今回の事故をきっかけにして、今後の深海石油掘削の安全性を根本から見直す必要がありそうだ。ブラジルの沖合いなどで進められている深海油田開発は、事故時の対応策などを含めて計画はすべて再検証が必要である。