ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

ラッキーナンバー7

2008年01月20日 | 映画レビュー
 最近見たサスペンスものでは一番面白い。スタイリッシュな映像、凝ったストーリー、豪華な配役。やたら人が殺される凄惨な話なのに鑑賞後の気分は爽やか。

 空港の待合室で、若い男がプロの殺し屋(ブルース・ウィリス)に殺される。その手口がまた見事。そして場面はNYのマンションの一室に変わる。その部屋に住む友人に呼び出されたスレヴン(ジョシュ・ハートネット)は、やって来た借金取立てのヤクザたちに友人と間違われて拉致される。彼の言い訳は通用せず、ヤクザに脅されたスレヴンは借金のカタに対立するマフィアの親分の息子を殺すことを強要される…


 対立するマフィアの親分たちがまた渋い。一人がモーガン・フリーマン演じる「ボス」で、もう一人がベン・キングズレー演じる「ラビ」。つまり、黒人対ユダヤ人ということ。エスニック対立が戯画的に描かれていて、しかもそのエスニックがもちろんアメリカ社会では疎外されている者たちというステレオタイプを逆手に取った面白さがある。

 よくよく考えてみれば辻褄が合わないところはいくらでもあるわけで、だからツッコミたい人には格好の材料を提供するだろうけれど、この映画はすべての謎を最後にきれいに解いてくれるので観客に大いなるカタルシスをもたらす。

 スレヴンが恋する中国系女性を演じたルーシー・リューがいい感じで、愛らしく無邪気な女性をうまく演じている。しかし、彼女が医者には見えないんですけど…(笑) 

 非情の世界にも周到な計画にも綻びが出る。その綻びを生むのが愛と慈悲だ。この映画にはその甘さがある分、後味がいい。(レンタルDVD)(R-15)


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ラッキーナンバー7
LUCKY NUMBER SLEVIN
アメリカ、2006年、上映時間 111分
監督: ポール・マクギガン
製作総指揮: ジェーン・バークレイほか、脚本: ジェイソン・スマイロヴィック、音楽: J・ラルフ
出演: ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、ルーシー・リュー、モーガン・フリーマン、ベン・キングズレー

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