ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

火事だよ!カワイ子ちゃん

2007年12月24日 | 映画レビュー
 これはもう、明らかな党幹部批判。公開一週間で上映中止に追い込まれたというのも頷けます。こんなふうに揶揄され笑いものにされれば党幹部は怒るでしょう。しかし、そういう意味で見る以外にわたしには楽しみようがなかった。

 「ブロンドの恋」と同じ役者が何人も登場するのでフォアマン作品の常連なのかな、と思いつつ。

 これはもう、「ブロンドの恋」以上に脱力しっぱなしのコメディ。消防署のお偉いさんというのがどうみても党幹部にしか見えない。消防署主催のダンスパーティでミスコンテストをしようという目論みがさんざんなことになるというドタバタ劇だけれど、幹部達が、よくよく考えればどうでもいいようなことを真面目に鳩首談義やったり「正義より対面が大事」と堂々と言ってのけたり、実に当時の官僚制を批判しおちょくる展開。しかもパーティの最中に火事が起きてしまうというトンデモな事件も発生。引退した署長がどこまで正気なのかボケているのかとにかくパーティにやって来てぼうっとしている様も妙ちくりんで可笑しい。極めつけはラストシーンで、わびしく寒々しくなんだか笑顔も凍りつく、というやつ。こんな映画を作られた日には党幹部は怒るわな、そりゃぁ。(レンタルDVD)

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HORI, MA PANENKO
チェコスロヴァキア/イタリア、1967年、上映時間 71分
監督: ミロス・フォアマン、脚本: ヤロスラフ・パポウシェク、音楽: カレル・マシェク
出演: ヤン・ヴォストゥルチル、ヨゼフ・シェバーネク、ヨゼフ・コルプ、フランシェク・デベルカ

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