倒産しかかっている老舗の靴工場を継いだ4代目の若社長が、起死回生を図って製造しようとしたのはなんと、女装愛好家のための「紳士靴サイズの婦人靴」、名づけて「キンキー・ブーツ」だった! というお話。構造不況業種が起死回生をかける話ってどこかできいたことがあるような気がするし、不況だけど頑張るっていうのは「ブラス!」とか「フルモンティ」みたいだけど、実際に成功したお話を元にしているだけあって、結末は明るい。
驚いたのはキウェテル・イジョフォーのドラッグ・クイーンぶりだ。「堕天使のパスポート」で好感度の高い医師の役がぴったりだと思ったのに、今回は女装してド派手な化粧でおまけに大口あけて歌っているのには驚いた。キウェテル・イジョフォーだなんて、最初のうちはまったく気付かなかった。この人はいろんな役ができる器用な役者なんだ! それに女装したから初めて気付いたけど、こんな大柄な男だとも思わなかった。確かにこの体重では婦人靴のピンヒールは履けないわなぁ。
若社長チャーリーが工場を継いで最初にやったことが人員整理。一人ずつ労働者を社長室に呼んで解雇を申し渡すわけだが、靴工場の労働者は熟練の職人たちではないのか? 解雇されて唯々諾々と辞めていくのはなんとも納得しがたいのだが、かつてのクラフトユニオンの強さを誇ったイギリスの労働運動も地に落ちたということだろうか。だが彼は、一人の若い女性労働者の言葉にひらめく。「新製品の開拓を」。そうだ、ニッチ(隙間)製品を開発すればいい。チャーリーが偶然知り合ったドラッグクイーンの女性(男性)ローラなどは、女性用のピンヒールブーツを無理やり履いてはヒールを折っていたのだが、ちゃんとした丈夫な男性用婦人靴を作れば需要があるに違いない。
で、そこで従業員たちを前に演説をぶつチャーリーは、クイァな人々への偏見で凝り固まる彼らを説得し、またローラ自身が工場に出向いてデザインを担当するうち、いつしか労働者たちも仕事に熱心に取り組むようになり…。とまあ、予想通りの展開。チャーリーの婚約者とのぎくしゃくも加わって、定石どおり。
ローラへへの偏見に固まっていた一人の労働者が、彼女(彼?)への差別意識を払拭するようになるきっかけがやっぱりローラの中にある「男らしさ」の再発見にあったというのはいかがなんでしょうか??
ま、とにかくいろいろあってもハッピーエンドということで、可もなく不可もなく楽しい映画でした。(レンタルDVD)
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KINKY BOOTS
イギリス・アメリカ、2005年、上映時間 107分
監督: ジュリアン・ジャロルド、製作: ニック・バートンほか、脚本: ジェフ・ディーン、ティム・ファース、音楽: エイドリアン・ジョンストン
出演: ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ
驚いたのはキウェテル・イジョフォーのドラッグ・クイーンぶりだ。「堕天使のパスポート」で好感度の高い医師の役がぴったりだと思ったのに、今回は女装してド派手な化粧でおまけに大口あけて歌っているのには驚いた。キウェテル・イジョフォーだなんて、最初のうちはまったく気付かなかった。この人はいろんな役ができる器用な役者なんだ! それに女装したから初めて気付いたけど、こんな大柄な男だとも思わなかった。確かにこの体重では婦人靴のピンヒールは履けないわなぁ。
若社長チャーリーが工場を継いで最初にやったことが人員整理。一人ずつ労働者を社長室に呼んで解雇を申し渡すわけだが、靴工場の労働者は熟練の職人たちではないのか? 解雇されて唯々諾々と辞めていくのはなんとも納得しがたいのだが、かつてのクラフトユニオンの強さを誇ったイギリスの労働運動も地に落ちたということだろうか。だが彼は、一人の若い女性労働者の言葉にひらめく。「新製品の開拓を」。そうだ、ニッチ(隙間)製品を開発すればいい。チャーリーが偶然知り合ったドラッグクイーンの女性(男性)ローラなどは、女性用のピンヒールブーツを無理やり履いてはヒールを折っていたのだが、ちゃんとした丈夫な男性用婦人靴を作れば需要があるに違いない。
で、そこで従業員たちを前に演説をぶつチャーリーは、クイァな人々への偏見で凝り固まる彼らを説得し、またローラ自身が工場に出向いてデザインを担当するうち、いつしか労働者たちも仕事に熱心に取り組むようになり…。とまあ、予想通りの展開。チャーリーの婚約者とのぎくしゃくも加わって、定石どおり。
ローラへへの偏見に固まっていた一人の労働者が、彼女(彼?)への差別意識を払拭するようになるきっかけがやっぱりローラの中にある「男らしさ」の再発見にあったというのはいかがなんでしょうか??
ま、とにかくいろいろあってもハッピーエンドということで、可もなく不可もなく楽しい映画でした。(レンタルDVD)
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KINKY BOOTS
イギリス・アメリカ、2005年、上映時間 107分
監督: ジュリアン・ジャロルド、製作: ニック・バートンほか、脚本: ジェフ・ディーン、ティム・ファース、音楽: エイドリアン・ジョンストン
出演: ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ