日々の恐怖 9月3日 窓
俺の仕事はものづくりなんだけど、作業の音がかなりうるさいから職場は山の中腹くらいにある。
一応道路には面しているんだけど、周りには民家どころか他の建物すら建ってなくて、森に囲まれてる状態だ。
そんなんだから窓にはカーテンなんてつけてない。
数日前のことなんだけど、ちょっと失敗しちゃって残業しなくちゃならなくなったんだ。
普段は17時には帰ってるんだけど、その日は0時くらいまでかかった。
それで、作業が終わって顔を上げたら目の前の窓に自分が写ったんだ。
外が真っ暗で室内が明るいと鏡みたいになる、あれだ。
俺の後ろに女が立っていた。
髪は長くてなんか妙にベタついてるような感じで、服も土か何かで汚れていた。
そして首からロープが垂れていた。
俺は心臓が止まるかと思うくらいびっくりして急いで振り返ったけど誰もいない。
もう一度、窓に写る室内を見たけどやっぱり誰もいない。
怖くなって片付けもしないで帰った。
次の日会社に来て、社長にこの話をしたら、俺が入社する何年か前に、この会社の近くの森で首吊りした女がいたことを教えてくれた。
首にロープついてたなら、そいつじゃないかって社長は言っていた。
ちなみに社長は今まで働いていて一度も見たことはないそうだ。
俺は怖すぎて仕事辞めようか悩んでいる。
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