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日々の恐怖 12月14日 運転席

2018-12-14 19:17:18 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 12月14日 運転席






 俺はド田舎の修理工場で働いてるんだけど、そこの親方の話です。
親っさんは変わり者で地元ではちょっと有名な人です。
腕は確かにいいんだけど、偏屈というか修理できそうな車でも別の所を紹介したりする。
 お客としても、たらい回しにされるのは嫌だろうから、ごねたりする人もいるんだけど、そんなお客に親っさんはこう言う。

「 この車、何度直しても同じ所が壊れるでしょう?
新品にしたのに、すぐ壊れたりして。
そういう車は、俺の技術じゃ直せんし原因もわからん。
俺ぁ、腕が無ぇから、自信のある腕のいい人に言うてくれ。」

それでお客は、だいたい黙って紹介された所へ行く。
 働き始めて5年した頃に、親っさんが競馬で儲けたんで呑みに行こうやって誘ってくれた。
従業員4人を連れて地元のキャバクラで呑んでたら、従業員の一人がスパークプラグが不良なだけの車を直さなかった親っさんに言及した。

「 ありゃぁおめぇ、何年もこの仕事やってりゃぁ、わかるんだけどよ、
人が死んだ車ってのあなぁ、運転席のあたりから嫌な感じがするんだよ。
気のせいかもしれんが、過去にそんな車直してえらい目に遭っとるからなぁ。
偏見がほとんどなんじゃろが、俺ぁそんな車の修理はでけんでな。
 だってそうじゃろ?
学んで来た技術が通用しない言うんじゃ、どうないする事もでけんわいな。」

 いわゆる曰く付きというやつの事を言ってるんだ。
そう察した従業員は、中古車を買う時に親っさんに相談するようになった。
 まだNGが出た事は無い。
実際に追い返した車が事故車だという証拠も無いけど、妙に説得力があって車を買う時はびびりながら相談する。
 地元の人も、何人か親っさんに相談にくる。
それで噂が広まって、ちょっと有名になったことがある。















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