日々の恐怖 11月27日 障子(2)
その夜、親戚皆で弁当を食べていたら、その子が話しかけてきた。
『 ねぇ、おじさんがね、ずっと見てたよ、お兄ちゃんをずっと見てたよ。』
その子曰く、中年男性が障子の下部分に取り付けられたガラスから俺をずっと見ていたらしい。
” 弔問客の誰かによる悪ふざけだろう。”
と思った俺は、その話を半ば聞き流していた。
そして昨日、誰も住まなくなって4年経った祖父母の家に気まぐれに入った俺は、親戚の子が青ざめていた訳を知った。
障子の下部分のガラスは床から数cmしか間が無く、そしてその縦幅も10cm程度しか無かったからだ。
異常な体勢で、自分をずっと見つめている人間の姿を想像した俺は怖くなり、部屋中を見返した。
壁に取り付けられた曾祖父の絵と目が合った気がして、走ってその家から出た。
今考えてみると、障子を開けた先は、不審者が目撃された廊下だった。
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