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日々の恐怖 4月30日 407

2014-04-30 18:58:58 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月30日 407



 東日本の有名観光地に実際にあるかなり有名なホテルなんだけど、そこは部屋のナンバープレートを金物で作って飾ってある。
 数年前、502号室に泊まった時、不可解なことがあった。
その左横は501で右横はロビーみたいになってて机と椅子が置いてあって、前の部屋は512とプレートがあった。
まぁ、気にも留めてなかったんだけど何となく見ていた。
それから飯をレストランで食べて、貸しきり風呂で良い気持ちになっていた。
 さて寝ようかと、エレベーターで5階を押して部屋に戻ろうとした。
そこで廊下の突き当たりに(501号室とその前の部屋の間)に、横向きに置いてある絵を見て少しゾクっとした。
 絵が、真っ赤な風景の中に湖の前の家を描いてるようなんだけど、なんか家が火事で燃えてるような感じにとれる。
それで、

“ これホテルには似つかわしくないなぁ・・・。”

と、漠然と思っていた。

 部屋に戻ってからも何故か火事のイメージが強くて結構気になっちゃって、案内書とかで非常階段調べたり、タバコを吸ってたから灰皿に水入れたりしていた。
 それからしばらくして、部屋が乾燥してたからフロントに電話して加湿器を借りた。
ノックがしたので、持ってきてくれたかとドアを開けて加湿器を借り、部屋に設置して、窓の前のカーテンを全部閉めて寝る準備を万端にした。
 寝てて喉が渇いて起きるのも嫌だから、冷蔵庫の中からお茶出して枕元に置いとこうと冷蔵庫を開けたけど、生憎ウーロン茶しかない。
あまりウーロン茶好きじゃないから、部屋の横のロビーの自動販売機でお茶を買うかと、お金もって部屋を出た。
その時は10時30分ぐらい。
 自動販売機で麦茶を買ってお釣りを取ろうとしゃがんで手を伸ばしたときに、後ろの廊下を誰かが歩いている気配がした。
別に気にする事では無いし、わざわざ振り返って挨拶するのも気が引けるから、ちょっと遅めに行動してお釣りを取って振り返ったら、ちょうど誰かがロビーを抜けようとしている後姿が見えた。
 501号室とかの人だと、鍵開けてる最中に顔を合わせるのとかを避けたいから、ドアの音がしてから自分の部屋に戻ろうと思って再度待っていた。
だけど、しばらく待ってもドアが開く音はしない。
それで、顔を上げたら廊下には誰もいない。

“ おお・・・・?”

と思ってキョロキョロしても誰もいない。
 流石に怖くて、急いで鍵を開けようとしてたら鍵を落としちゃって、しゃがんで取ろうとしてたら後方から、

「 ガチャガチャ、ドン!」

ってドアの音がした。

“ さっきまでいなかったから、誰か出てきたのか?”

と思って振り向いたけど誰もいない。
 怖くて、急いで鍵を拾って開けて最後にもう一度廊下を見た。
そしたら、絵に違和感がある。
さっきまでの絵のイメージは真っ赤な風景と家だったのが、それに黒い人影が足されてる。というか、真っ黒な人が家の玄関から這い出てるように見えた。
 その瞬間に、

“ おいおい、火事の絵に見えるんじゃなくて、これって火事になってる家を描いた絵そのものじゃないのか。”

と思った。
 そこでフッと、501号室の前のドアに目が行ったんだけれど、そこだけプレートが剥がれている。
プレートのあった場所だけ白くなっていて、番号が407って薄く残っている。
 ここは5階だからまず4から始まらない。
しかも、ドアを4階から外して持ってこない限りプレート番号の跡は残らない。
 そこで又絵に目が捉われたんだけれど、さっきの黒い影が家の前にある湖に向かって這いずり出してるようにしか見えなくなった。
直ぐに部屋に戻って、

“ 部屋に御札なんか無いだろうな・・・?”

と御札を探したがどこにも無い。
しかし、ふっと時計に目をやったら時間がいやに進んでいる。
横の自動販売機にお茶を買いに行っただけなのに、40分強経ってることに気が付いた。
 恐怖とパニックで部屋中の電気とテレビつけて、面白くもないバラエティー番組を音量上げて流していたら、いつの間にか寝てしまっていた。


 次の日、朝食を食べてチェックアウト。
その際に、

「 5階にある絵、あれは変わってますね。
火事を連想するから、あまり芳しくないのでは?」

と言ってみた。
すると、

「 あの絵は、当ホテルが創立時よりありますので。」

“ 創立時からって、お宅一度火事で全館焼失しましたよね。
建て直して、今のホテルがあるんじゃないの・・・。”

とは、聞けなかった。
 ネットで色々調べてみたけど、別に心霊現象があるとかって情報は無かったけれど、

“ あそこの501号とか512号とかの宿泊者は、横のドアの番号を見たことあるはずなんだけど、気にも留めていないのかな・・・。”

と思った。












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