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日々の恐怖 3月15日 レクイエム 6

2023-03-15 12:25:58 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 3月15日 レクイエム 6






 入院中はたくさんの人に支えられた。
大手術もした。
今思えばそんなこともあったな、と思うが、当時は本当に大変だった。
もう二度とこんなことになりたくない。
そう思った。
 大学の開校期間中に復帰できた。
単位もいくつか落としたが、周りの支えもあり、なんとかなった。
そうして時は過ぎて行った。
 僕は大学三回生になり、就活をしていた。
就活は本当に大変だった。
毎日色々なところに行っては、説明会に出たり、面接を受けたり、テストを受けたりしていた。
順調に物事が進むようには思えなかった、そんな時のことだった。

 大阪、梅田の地下街を就活の合間に歩いていた。
僕の就活の息抜きはラーメンで、色々な店を捜しては食った。
今回は坦々麺。
今もあるかどうかはわからないが、有名な泉の広場を抜けた先にある。
 本格坦々麺の店に向かい、注文した。
料理が出てくるのを待っていると、携帯が鳴った。
僕は、

” 選考の連絡かな・・・?”

と思い、嬉々として通話ボタンを押した。
その瞬間、口の中に誰かが手を突っ込んできたのかと思うほど、口が引き攣り、喋れなくなった。
 なんでこんな時に、こんなことになるのか。
持病も何もないのになぜ、と思いながら、耳を澄まして相手の声に集中した。
後で掛け返せばなんとかなると思った。
すると聞こえてきた声は意外なものだった。

「 あの~、すいません。
その携帯、僕のなんですが、そちらはどなたですか?」

間違いなく僕の声だった。
そして彼は電話を切った。
 その瞬間、僕の口は元に戻っていた。
そんな馬鹿な、間違い電話だろうと思う僕に坦々麺が運ばれてきた。
食べようとした瞬間、僕の耳に聞こえたのは、店内のBGMに使われていたレクイエムだった。

「 そうか、あのとき聞こえていたのは、これだったのか・・・。」










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