日々の恐怖 3月25日 村(3)
頭の上を飛び越え、逆さまに地面に叩き付けられる愛車が見えた。
” やっちまった!”
幸い、路面に沿って投げ出されたお陰で木や岩に突っ込む事はなかった。
しかし、さすがにあちこち痛む。
ゆっくり起き上がる。
骨に異常はないみたいだ。
ふらつきながら、先の方に転がっているバイクに近付く。
ウィンカーやミラーは脱落し、メーター周りは粉々だ。
それでも一応キックでエンジンを掛けようと試みたが、予想通り無反応だった。
Fフォークも捻れてタイヤを挟み込んでいる。
辺りは既に、かなり暗くなって来ていた。
携帯はもちろん圏外だ。
” 仕方ない、歩いて下るか・・・・。”
バイクを邪魔にならない場所に引きずり込み、ジャケットを曲がったハンドルに引っ掛けリュックを背負う。
絶望的な気分で懐中電灯の明かりを頼りに歩き始めた。
暗い道が、延々続いていた。
” もう3時間歩き続けている、おかしいな・・・・・・。”
そろそろ、あの神社のある場所に出ても良いはずだ。
右手に夜空、左手に山の斜面を見続けて歩いているのだから間違いない。
” もしかして、気付かないうちに脇道に入ったか・・・?”
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