ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

たっぷり談春@名古屋

2008年01月14日 | Weblog
ホテルで起きたら午後12時過ぎ。チェックアウト時間に間に合わず、結局超過料金を払って1時過ぎにホテルを出る。腹拵えに名古屋駅ビルJRセントラルタワーズに出かけたがどこも長蛇の列。唯一空いていた加賀の料亭浅田の支店へ。松花堂弁当「紅殻」注文。上品な味付に控えめな量。店内もさりげなく魯山人の書が飾ってあったりして、駅ビルの中であることを忘れる雰囲気、格式の高さがそこはかとなく感じられる。しかし、奥のカウンターで手を握り合う熟年の訳ありカップルの話に思わず食に対する集中力を欠く。名古屋から地下鉄桜通線で移動、今池へ約10分。
談春独演会@今池ガスホール。15:30からという微妙な開演時間。
春太「浮世根問」。昨日談春から「焦ると押す」と諭されたせいか、若干すっきり。会場の反応も温かい。
談春、マクラで「en-taxi」連載のきっかけ、「赤めだか」出版記念全国サイン会から落語会ツアーへのいきさつを語る。結果的にノーギャラで全国縦断するはめになったということで、珍しくツアーへの「ご祝儀」募集。そして「子別れ」通し。
上・中は素晴らしい出来栄え。兵糧米と軍用金を携え、酔いがまわっていい気分の大工の熊が寺から出てきたところからスタート。紙くず屋をいたぶる熊の嬉々としたいたずらムード、そして5銭で7人の敵と戦おうという武士っぷりを見せながら熊にやられっぱなしの紙くず屋の膨れっ面、そんな2人がウキウキ吉原へと向かう様子が活き活きと描写されてその姿が目に浮かぶようだ。大店を冷やかす紙くず屋を嗜め、裏の小店へ。「俺は見ての通りの職人だ、こいつは・・・、紙屋の旦那だ」に機嫌を良くした紙くず屋の束の間の喜び、すぐに正体を暴れ揚げ句の果てに「先祖代々の紙くず屋だい」。声をかけた若い衆に弁当を差し出す。がんもどきの汁が少ないという若い衆に「味がわかるな」とにやり、背中に背負った弁当を紙くず屋にどやされて汁が全部ふんどしにしみちゃった、「ふんどし絞ろうか?」と冗談飛ばして登楼。すぐに翌朝へと場面は移り、ぷいと帰った紙くず屋とは対照的に持ったが病で居続ける熊の元へ4日目の朝おばさん登場。優しい言葉の裏に隠された本当の言葉を解説。お銚子1本でやんわり追い出され、さすがにまっすぐ帰り辛くてぐずぐず酒を飲み、暗くなって帰る早々女房に問い詰められ、品川から吉原に移ったお勝との色っぽい事の次第を告白する熊が女房に叩かれ啖呵を切るまで、そしてそこからガラッと一転し母子が別れの挨拶をして出て行くまで、その劇的な変化に圧倒される。「出て行け」と言われた女房の悔しさよりも諦念がしみじみと感じられる。場面、登場人物の感情の転換が見事で、話にぐいぐい引き込まれてしまう。
仲入後の下、亀ちゃんの3年後の年齢が9歳から11歳にアップ。亀の登場の仕方、額の傷の負わされ方、母親にギュ~と抱きしめられて肋骨2本ヒビ、青鉛筆で空を書く、などの挿話は先日と変わらず盛り込まれている。女房が亀の忘れ物を届ける場面、確か先日は一番見栄えのいい着物を着て少しお化粧して出かけたように記憶しているのだが、今回は取る物も取りあえずいそいそ駆けつける。亀ちゃんの鰻の食べっぷり、見事だった。三年ぶり夫婦差し向いの場面は昨日よりややすっきり。