満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『プレシャス』

2010-04-19 01:41:24 | 映画

皆様ごきげんよう。たまに行く○SUTAYAでずっと「DVDレンタル5枚で1000円」というのをやっていたので、つい5作も借りてはみたものの、一本も観ないまま週末を迎えてしまい、昨日今日で焦って3作品鑑賞いたしました黒猫でございます。火曜の夜までにあと2作・・・。
諦めんなよ!熱くなれよ!わたしはやれば出来る子!イエス、アイキャン!

・・・頑張ります。


そんなこんなで、今日は久々に映画の感想を。月曜観たのを今日まで持ち越すクオリティ。仕方ないね、にんげんだもの。(相田みつをに謝れ)
・・・と、とりあえずホラ、公開にはまだ間があるみたいなので。それで許して。
「絶対に許さない」と思った人は、その熱い気持ちを忘れずに、でも別の何かに怒りを向けるようにして下さい。罪を憎んで人を憎まずって言うじゃない。(開き直った)


『プレシャス』

1987年、ハーレム。
16才の少女、クレアリース・プレシャス・ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)は、妊娠が原因で中学校を退学になってしまう。クレアリースにとって二人目の子どもとなるこの子は、父親の性的虐待によってできた子だったが、そのことは家族しか知らない。
二度目の妊娠ということで退学処分にはしたものの、数学の成績がよかったことから、中学校の校長は勉強を続けられるようフリースクールを紹介する。

クレアリースとその子どものために支給される児童手当で生活している母・メアリー(モニーク)は、クレアリースを「自分の男を盗った女」という目で見ていて、ことあるごとにクレアリースを虐待するし、父は家を出ていて、クレアリースには頼れる人がいなかった。

校長のすすめに従い、フリースクールを訪れたクレアリースは、そこで教師のミズ・レイン(ポーラ・パットン)と出会う。字もうまく読めないクレアリースに対しても決して焦らず、熱心に指導してくれるミズ・レインと、同じような境遇のクラスメイトに囲まれ、クレアリースは少しずつ生きる希望を見出してゆくが・・・?

というようなお話。


アカデミー賞で2部門を受賞したので、気になっていた作品ではありますが、いやあ、予想はしてたけど、とにかく辛い話でした。

クレアリースは自分が辛い境遇にいることはわかっているんですが、何もしない。できないのかしないのかわかりませんが、最初から諦めているかのよう。
お母さんがとにかくすごい。お母さんを演じたモニークは、この作品で助演女優賞を獲ったわけですが、ホントすごい演技でした。荒みすぎ。仕事もしない、料理もしない、日がな一日TVを観て、気に入らないことがあるとクレアリースに暴力。クレアリースはすごく太っているんですが、これも虐待のひとつだというのがわかるシーンがあります。自分の子どもなのにあんなことできるものなのか、と思いますが、我が子というより自分の男を盗った女という気持ちが強すぎるようで。まずそれ通報しろよ、おかしいから。嫉妬してる場合か。
まあ、一番悪いのは父親なんですが、ほとんど出てきません。


ホントに色々酷いなと思いましたが、後半、クレアリースが赤ちゃんを連れて家に戻ってからの一連のシーンは観ていて気が滅入るとしか言いようがありませんでした。明らかに病気だよお母さん。でも極力外界と関わらないし、関わる時にも外面がいいので、誰も気づかないのです。
完全に機能不全というか壊れた家族ですが、極力他人を入れないため、全然事情が漏れません。

おそらくずっと虐待されて育ったのであろうクレアリースには、この生活からの抜け出し方がわからなかったようなんですが、ミズ・レインの助けもあり、徐々に自分の未来を考え始めます。
で、ずっと関わってきた行政の(?)カウンセラー、ミセス・ワイス(マライア・キャリー、全ッ然わかんなかった!)に告白して、いつもはクレアリースだけが面会するところを、親子で面会するんですが、ここのシーンはもう色々凄かったです。母・メアリの独壇場。そうとしか言いようがない。そら獲るわ助演女優賞。しかもモニークさんはコメディエンヌだとか。何この演技力。本気で怖かったよ。

観ながらもっと行政とか学校とかどうにかしてやれよと思ったんですが、舞台が80年代になっているので、現在はもっとずっと改善されているってことなんですよね・・・?
偶然今日の新聞にハーレムのことが載っていたんですが、現在は区画整理が進んで治安もややよくなり、だいぶ様変わりしたとか。

しかし核家族化が進んだせいか、よその家の事情に首を突っ込むのは難しくなった感じですが、こういうの、規模はともかく日本でもありうると思うとなんかホントやるせないです。

あんまり誰かと観に行く感じじゃないとは思いますし、残念ながらカタルシスはないと思いますが、気になる方は是非。
コメント
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