皆様ごきげんよう。雪がやまないけれどももうすぐ外出しなきゃいけない定めの黒猫でございます。死んだらどうしよう(ねえよ)。
その前に、今から返しに行く本で一番面白かったものだけでもレビューしてから行こうと思います。げ、現実逃避じゃないんだからねっ!
『天山の巫女ソニン 二 海の孔雀』(菅野雪虫著、講談社)
シリーズ第二巻。
沙維の国・天山にて、赤子の頃より親と離れて巫女の修行を続けてきた少女・ソニンは、12の時に「才能なし」として親元に帰される。ようやく里での暮らしに慣れてきた頃、ソニンはひょんなことから自国の末の王子・イウォルと知り合う。ソニンは何故か手を触れ合うと、生まれつき口のきけないイウォルの意志を読み取ることができた。そのため侍女に取り立てられたソニンは、王宮で暮らし始めるが、ある時王子たちが眠ったまま目を覚まさなくなり、巫女であったソニンに疑いが向けられる。ソニンは王子たちの魂を取り戻し、自らの疑いを晴らすため、一人旅に出るが・・・?
というのが第一巻の話。
第二巻である本巻では、隣国・江南の第二王子・クワンの招きで江南に留学したイウォル王子に従い江南に赴く話。
イウォル王子は口がきけないため少々コンプレックスを持っており、国のため、兄たちのためにどうにか役に立ちたいと思っていて、その気持ちが良くわかるソニンは、長い間家族にも会えなくなるのを我慢して王子に同伴して江南へ赴く。
実はソニンは今回の招待主・クワンと面識があり、何か裏があるのではないかと疑っていた。しかしいざ江南に着いてみると、正妻の子ではないクワン王子の王宮内での複雑な立場が垣間見え・・・?
というようなお話。
こうやって書いてみると結構複雑な話のようですが、基本的に児童文学なので、大人が読めばサクっと読めます。
でも子ども向けにしては結構生々しいというか厳しいことも描写されていたりして、なかなか奥の深い作品です。
巫女になるべく育てられたソニンには我欲がなく、そのせいか自分の我欲のために動くということがありません。でもいい子ちゃんすぎて鼻につくということがないから不思議です。どちらかというとイウォル王子のほうが世間知らずでやや未熟。でも聞く耳はありそうなので、今後の成長に期待、といったところでしょうか。
こういう物語にしては、沙維の王族は兄弟仲がとてもいいのが微笑ましいです。それだけに今回の舞台、江南の王家の内情がいっそうアレな感じです。
安定した面白さで楽しめたので、次巻が楽しみです。おすすめ。