皆様ごきげんよう。ちょっとだけのつもりで犬猫の可愛い動画を見ていたらこんな時間になっちまいました、相変わらずのダメ人間、黒猫でございますよ。
あのね、正直今日水曜だと思ってた・・・(※日付が変わる前のことを指しています)水曜だと思ってジム行ったらいつものクラスやってなかった、火曜だから。ダメ人間ですいません・・・。
さてさて、今日は久しぶりに本の話など。
スティーヴン・キングの『ダークタワー』シリーズをようやく最後まで読み終えました(風間賢二訳・新潮文庫)。
長かった・・・第一巻『ガンスリンガー』(ハードカバー版)刊行から10年以上経ってるんじゃないでしょうか。でも構想から完成はでは30年くらいかかったらしいですが。
以下、ホントに粗いあらすじです。
我々のアメリカとは異なる異世界、<中間世界>。
世界に秩序をもたらしたとされる偉大なる王、アーサー・エルドの血を引く最後のガンスリンガー(拳銃使い)、ローランドは、父を殺し、故郷ギリアドを破滅に追いやった黒衣の男、ジョン・ファースンのあとをひたすら追っていた。
<中間世界>の時間の流れは狂ってきており、旅を続けるローランドの体感時間と、各地に暮らす人々との時間の流れが異なってきていた。それというのもこの世界の要である「暗黒の塔」を支える<ビーム>が崩壊しつつあり、そのせいで塔が傾いてきているからだ。ローランドの目的は、黒衣の男を倒し、<ビーム>を辿って暗黒の塔に辿り着くことだった。そこに何が待っているかはわからないが、塔がローランドを呼ぶのだ。
ローランドは内なる声(あるいは運命)である<カ>に従い、旅の目的を達成するために異世界から仲間となる者を<中間世界>に呼び寄せる。<中間駅>で出会った(我々の世界の)ニューヨーク出身の少年ジェイク、同ニューヨーク出身でドラッグ中毒の白人青年エディ、両足の膝から下を事故で失った黒人女性オデッタ(のちにスザンナ)、旅の途中で出会ったビリー・バンブラー(多少人語を解する賢い動物)のオイ。それぞれ異なる時代と場所からやってきた四人と一匹は<カ・テット>を形成し、幾多の困難に遭いつつも暗黒の塔への道を辿るが・・・?
大雑把にまとめればこんな話です。かなり大雑把ですが。ご興味を持たれた方はWikipediaのダーク・タワーの項をご参照下さい。
・・・ええとですね、全7部・15冊(文庫)にわたるという長さのせいもありますが、スティーヴン・キング未読者はやめておいたほうがいいと思います。というか、読んでも多分最初の一冊でついていけなくなるかと。
全編にキングが今まで発表した作品が微妙に絡んできて、『呪われた町』に至っては登場人物のキャラハン神父がスピンオフして重要なキャラクターとして登場します。(でもわたしは『呪われた町』は未読なんですが)
あと、キング節炸裂というか、<カ>とか<ギャン>とか何とか、造語がいっぱい出てきます。一応説明もなされますが、どんどん「この世界ではこういうことになっている」的な設定が出てくるし、「説明はできないけど、こうしなきゃいけないんだ」というような、ノリでわかってくれと言わんばかりの展開だらけ。これを受け入れられる方は読めると思います。基本的に異世界の話なので(我々の世界も何度も舞台になりますが)そういうのもOKな方なら尚可という感じです。でも剣と魔法などのきらびやかな世界などではなく、時間の流れすら狂ってきている崩壊しつつある世界です。全体的に暗いしグロいし品がないのは否めません。
キングの作家生活の集大成的な作品ですが、少なくとも10作程度はキングの作品を読んでいる方でないと厳しいかも。物語後半にはスティーヴン・キング自身が登場して、ローランドの世界の崩壊を食い止める鍵を握る人物として描写されます。1999年にキングは交通事故に遭い、大怪我を負ったんですが、そのあたりがかなり突っ込んで描写されました。一歩間違えば死ぬところだった事故に遭い、色々思うところがあったんでしょうね。「19」と「99」という数字は作中でキーワードのように何度も出てきます。キング流に言えばこれも<カ>なのでしょう。
でもこの事故がなければ続きを書く気はなかったようなので、読者としては不謹慎ですがよかったのかも、とも思ったり。
主人公のローランドは、最後のガンスリンガー(拳銃使い)です。ガンスリンガーは為政者にして仲裁者、人民の指導者であると同時に奉仕者であり、<中間世界>の秩序を護る存在でもありました。が、一族郎党すべてが死に絶え、最後のガンスリンガーとなったローランドは、その経験ゆえか最初の頃はホントに非情で感じ悪いです。しかし、仲間を得て、特にジェイクとは親子のような関係を築くにつれ、段々人間味が増していきます。その辺は読み応えがありました。他のキャラクターは反発しながらも人間的に成長し、やがてローランドを指導者と仰ぎ、強固な絆で結ばれるようになります。この辺は読み応えがありますよ~。
読み進めていくうちにローランドと旅の仲間に愛着が湧いてしまい、作中の独特の言い回しも好きになってしまっていたので、ラスト2冊あたりはもう「え~~~~!????」という展開の連続でした。
特にラスト、最後の最後は・・・。エピローグの少し前に「ここで本を閉じることを皆さんにおすすめする」というような趣旨の警告が出てくるんですが、ホントにそうだったよ・・・。でもまあ、そこでやめる人もいないでしょうけどねぇ。ともあれ、色々と論議を呼びそうな結末でした。ジョジョ6部の最後のような。(ちょっと違うか)