出かける前にホームページを検索すると、すべてエラーがでていた。それでも
博物館は休館でもないはずだからと、出かけた。
現地に着いて花見陽気につられているうちに、多数の宣伝のポスターのひとつに墨絵があったので、
そそられて、入ることにした。雪村のPR文句はユーモアがあって、「ゆきむらではありません」とある。
連想暗示が横行しているためか、大河ドラマのタイトルに引っ張られそうです。
以前、ここに入ったのは、池大雅展だっただろうか、図録を買って帰ったような気がする。
いったい、何度ぞの図録を開いただろうか。軽いものだけを選ぶようになった。
作品を見ていくと、見覚えのある「おさるさん」がいた。
中でも痛快なのは、飛んでいる人物。「列士」というタイトルで、足元からまるでジェット噴射で浮遊でもしたかのように
宙に飛び、髪飾りも服も見事に風になびいている。こんな絵は見ていて気持ちがよい。良く思いついたものだ。
だれもがそう願いたい夢を現実に墨絵で再現してくれた。それとも、奇想天外な中国のお話のひとつ?
ひょっとしたら、手塚治虫さんのアトムよりもずっと前に描いているなんて、雪村は、超進歩型夢人なのかもしれません。
とは、展示PRを思い出す次第です。
(師の雪舟が中国にでかけていました。)
これから迎えるこどもの日にぴったりの絵もあって、斬新で、額にしたら好まれるかもしれません。
大きな鯉をつかんだばかりに、その髭を操り、頭に乗っているのはどうやら列士とも思われるような人物
のようです。
他にも、七賢人が大きめな顔で天を向いて笑っていたり、蝦蟇仙人の絵も楽しい。何を考えて描いたでしょう。
花鳥図屏風は、鳥の表情が生き生きと様々な動作態で描かれていた。
山水図も細かく描かれて、生活を楽しく鑑賞できるでしょう。
会館を後にして博物館に向かってはみたものの、十分満たされて、はしごをする気持ちもなくなっていた。
桜の花びらの舞うそよ風を浴び、白いヒメシャガの群生の小道を歩き、微かなほろ酔い気分に似た鑑賞の残り香りを抱きながら、帰路に向かった。
もし寝転んで屏風絵が見られる工夫があると、きっと贅沢な時間になりそうだとは思うのだけれど・・・
と、春の心地よさにつられて気持ちも軽い。
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