電車の空いている席に座った。慌て気味に乗ったので髪留めが気にかかり、手を当てると、髪からするりと落ちた。
隣に座っていた高校生が座席に落ちたのを、とっさに拾ってくれた。
「ありがとう」といい、それから彼らの会話が耳に入り始めた。
話題は介護だった。本当に感心し、思わず「おしゃべりが耳に入って、こんなに若い人が・・・」と感激を伝えた。
おしゃべり相手は、もうひとりの男子と隣の女子だった。介護専門の学校に入るためのグループ面接があったらしい。
女子は、新潟からやってきてお兄さんのところから面接に臨み、趣味で舞いを習っているそうだ。
ヘルパーの厚い本も知っていて、10年以上前に出合ったスピリッツを高める教習本もにわかのおしゃべり材料になった。
当時、若いイケメン・イケガールが仕事に就いていて、実習に感激したのを思い出した。
身近な同年代の女性も、同じようにヘルパーの講座をまるで素敵な教本のように語った。実習体験はとても貴重だった。
車いすに座って機械浴を待つ女性や痴呆患者に触れ、PPKがいちばんだろうと、思った。
男子高校生の母親も祖母も介護に関わっているらしい。
「家族って駄目なんですよ」と、言葉を思い出した。幸せだと必要性はわからなくて、困ったことがおこると揺れ動く。生命に関わると、ひととき、ひとつに繋がる要因にもなりうる。
介護も、家族だと、どうにも無理があるから、こうした関係者のお世話が好ましいのでしょう。
「会社でパソコンを打つよりも、実際に人の役に立ちたい」と、述べた高校生の声は、篤くとどき、とてもすがすがしかった。
将来を支える人材にエールを送っている。