香港は本当に刺激的で、そこにいる時よりも離れた時の方がその味が分かるような気がする。
旅から少しばかり時間が経ったからだろうか、けれど書いておかないと何を知ったか忘れてしまいそうだ。
あまりの街の雑踏に、変化をつけて街から離れた場所にも出かけてみた。
やっと思い出した bodyguard and assasins の映画、何年か前に見て、「孫文の義士団」という名前が記されていた。
生活路にカンフーのアクションを繰り広げる演技を見ては、香港の街を思い出したり、孫文が到着した港辺りを
自分の足で歩いた場所と重ね合わせたり、時間が経つと何かの映像場面によって旅情と呼べるものが育ちだしている。
初めて香港をツアーバスから見たその時、ビルの上方から道路に向かって張り出して掲げられた看板のレトロな風合いの中国文字が印象的だった。
そして実際に街を歩いてみるとひとつのビル、建築物の中に小さな店があちこちで営業している。
中には階段の通路をずっと人が列を連ね、エレベーターもエスカレーターもない建物には歩いて階段を進まなくてはその列の始まりがわからない。けして広くはない階段を、人の列を避けながら進むうちに、万が一の非常時対応が脳裏に浮かんでもいた。
行きつくところは、お菓子の販売だった。両替の店があったり、一坪ショップとでも呼べるような衣料品の店があったり、土産物や食品を
扱う店もあった。
こんなところにスーパーがあるとは、と、建物の地下で、それまで食品や生鮮品を売る店を見なかったので、旧元銀座通りとも思われる
繁華街で、実際の生鮮食料品を見て、日頃の生活の匂いを感じた。
と、ときどき「華様年華」のチャイナドレスの女性が、物憂くてけだるそうな心境に合わせた音楽とともに、狭い階段を昇っていく場面が思い出されたりする。