もう梅雨入りしそうな5月末、この時期に高尾山では他の山では
余り見ることのできない二つの花が咲く。
年間300万人の登山者数をほこる高尾山。平日でも登山者は多いので
静かに上りたいなら朝早くに限る。5時半には家を出て登山口に着いたのは
6時半。 さすがに登山口にはほとんど人の気配がない。
右手に折れて1号路を登る。少しの登ったところでお目当てのセッコクに
出会えた。セッコクはランの仲間。日本全国の山地に分布はするが、普段の
山歩きではなかなか見ることのできない花だ。
高尾山では杉の老木に着生していて毎年、5月下旬から6月にかけて
見ることができる。
花の色は白色から淡紅色まで
高尾山では主に1号路や6号路で見られる。下山中の6号路で見たセッコク。
6号路から見られるセッコクは見事な群生なのだが。惜しむらくはやや遠い。
300㎜の望遠でやっとといった具合。
もっと近くで見たければ、ケーブルカーのホームで間近に見ることができる。
もっとも切符を買う必要があるが……。隣のリフト乗り場では切符を買わずに
見られるがやや花の角度が悪いのが難点だ。
この時期のもう一つの目玉は山道わきにひっそりと咲くイナモリソウ。
余り群生しない花なのだが、ここでは珍しく10株ほどが密生していた。
イナモリソウの名前は三重県の稲森山で発見されたことかららしい。分布は関東以西。
アカネ科の仲間で、4枚の葉が特徴でヨツバハコベとも呼ばれる。
花弁はふつう5弁だが、
6弁や4弁の花もよく見られる。
これは4弁の花
同じ株から5弁と6弁の花
花弁の細い星形の花も時折見られる。
とても同じ花とは思えない変わりようだ。
嬉しいことに花弁が5,5,6と三つ咲いていた株に出会えた。
今回歩いたのは1号路→3号路→5号路→4号路→2号路→6号路の順。
花の比較的少ないこの時期でも、さすが高尾山だ、思ったよりもたくさんの花に出会えた。
その一部だが紹介してみよう。
スイカズラ
湿った崖に多く咲いていたユキノシタ
ウリノキは結構到る所で見ることができた。
ムラサキシキブの花に似たヤブムラサキ
フタリシズカ
これも高尾山以外では出会ったことがない花、オオバノウマノスズクサ
やっと色づき始めたヤマアジサイ
毎年同じところに咲くラン科のツレサギソウ
梅雨前に見るのはちょっと珍しいギンリョウソウ
お終いはハナイカダの実
山歩きを数十年にわたって趣味としている私だが、セッコクとイナモリソウは
高尾山以外では残念ながらお目にかかったことがない。タカオスミレといい
冬のシモバシラといい、他では難しい花が高尾山では割と容易く出会うことができる。
そのことが登山者が多いにもかかわらず、多くの人を惹きつけてやまない
高尾山の魅力なのだろう。
この辺で。