野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

乙女峠から金時山を登る

2017-10-06 17:49:12 | ハイキング

 今じゃ馴染みになったバスタ新宿(それにしても何と安易なネーミングだろう)には7時前に着いた。

箱根線には7時5分発に乗る予定。驚くことに箱根桃源台まで行く便は毎日18本もある。

 私が行く乙女峠までは所要時間1時間54分、運賃は片道1840円だ。往復4000円近く

かかるが、ちょっとした日帰り旅行だと思えばそんなに割高には感じない。

 予定よりやや遅れ乙女峠登山口に着いたのは9時10分。今のところ天気は上々だ。

 

 雪のない富士が間延びした姿を見せている。

 

 少し歩くと左折して林道が始まる。

 道のわきに咲いている花はすっかり秋の花に入れ替わっている。

 テンニンソウ

 

 地味なシュウブンソウの花

 

 この時期山に咲くキク科の花は私にはちょっと荷が重い。カントウヨメナ、シロヨメナ、ノコンギク、ユウガギクと

判別の難しい花が多い。個体差もあり、花色や形だけではとてもわからない。この花は

 蕾が紫色を帯びているのでノコンギクだろうか。

 

 林道はすぐに終わり、右折して登山道に入っていく。登りも思ったより急だ。

マムシグサの仲間の真っ赤な実が迎えてくれた。

 この実とても食べられそうにないのだが、世の中には物好きな人もいるもので、これを食べたという

サイトがあった。

 

 日差しの当たるところにはアキノキリンソウが咲いている。

 

 紫色の小さな花を咲かせているのはセキヤノアキチョウジ

 

 40分ほどの登りで乙女峠。この日初めて2名の先客を見かけた。

 

 乙女峠は箱根越えの最古の峠。悲しい伝説が名の由来となっている。

あぁ本当は乙女峠ではなくてとめ峠だったんだ!

 

 白い卵のようなキノコ

 

峠を過ぎると尾根筋に沿って登り下りをしながら高度を上げていく。といっても大した高さではない。

バアソブを見つけた。

 

 ヤマハッカ

 

 見晴らしのよい所に出た。

 

 アザミの仲間

 

 眼下には大涌谷(左手の煙を吐き出している山)や芦ノ湖(右奥)が見える

 

標高1100m近くまで登ってきた。秋に咲く山の花が多くなってきた。

トリカブトの花

 

オヤマボクチ

 

 イワシャジン

 

 ダイモンジソウ

 

 嬉しいことに同じユキノシタ科のシラヒゲソウにも出会えた。

 

 下の登山口で見かけたテンニンソウ。こちらは崖に生えているので

だいぶ面影が違って見える。

 

一時間40分で金時山頂上に到着。頂上には思ったより人が多い。この山には

登山距離の短い乙女口や金時神社口から登る人の方が多い。

 

 登っている間にガスが頂上を覆い始めたようで、肝心の富士山は全く見えない。

 

まだ昼前なので、皆さんはガスが晴れて、富士山が見られるのを待っているようだ。

私はまだ寄るところがあるので早々に金時登山口方面に下山。

途中のマツムシソウとフジアザミ、そしてあちこちに咲いていたホトトギスを

見ながらゆっくりと下山した。。

 

アザミの仲間では日本最大のフジアザミ

 

 到る所に咲いていたホトトギス。

 下山後は箱根湿生花園に寄った。

 この辺で。

 


甲州古道ー浅間尾根を歩く

2017-10-03 20:31:58 | ハイキング

 若いころ、四つ葉のクローバーを草原(くさはら)で夢中になって探した。不思議なもので

最初の一枚を見つけるまでが大変で、一つ見つけると次々と見つかる事が多かった。

まるで人生と同じように幸運も不運と同じように連鎖していく……のだ。

 

 もともとクローバーはマメ科のシロツメクサという植物で3つ葉が普通。

自然の状態では一万枚に一枚程度の割合で四つ葉になるのだという。その四つ葉の

クローバーがどうして幸運の象徴なのかはヨーロッパの古い伝説による。それによると3つの葉は

希望・誠実・愛情を表していて、4枚目の葉が幸運を象徴しているのだそうだ。また

別の説では四つ葉がキリストの十字架を象徴していて、神の到来すなわち

幸運を意味するのだという。

 

 ところで四つ葉のクローバーのでき方についても最近初めて知った。本来、クローバーは

人の出入りの多い草原に生育する。その上を歩く人の踏み圧によって四つ葉の生長点が傷つけられ、

一種の奇形として四つ葉のクローバーは生まれるのだといいう。

 そう、恰も苦労を積み重ねた人がその苦労の末にやっと幸せをつかむように。

 

 >本題へ

払沢の滝入口から登っていく。少し登ると集落を抜けて高台に出る。

 

 ここから更に山道に入っていく。傍らにはヒガンバナが咲いている。

 

 道の傍にはミゾソバやツユクサ、ヤマホトトギス等秋の里山に咲く花が勢ぞろいしている。

 

 

 

 半鐘のぶら下げられた小屋

 

 里では枯れてしまった彼岸花もこの辺りではまだまだ見られる。

 

 ヤブマメ

 

 登りきったところが時坂(とっさか)峠

 

 見晴らしの良い山道をしばらく行くと峠の茶屋へ着くが、平日

人影は見られない。

 

カントウヨメナの花だろうか

 

 ヤマハギが美しい

 

 アキノキリンソウも精一杯咲いている。

 

 こちらはキク科のカシワバハグマと

 

 これはオクモミジバハグマだろうか

 

 針葉樹林帯を登りきると浅間嶺の頂上へ着く。

 

 雪のない富士山が見える。

 

 反対側には御前山が望める。

 

 ここで昼を取った。

ベンチの傍に生えていたヒヨドリバナにアサギマダラが2頭止まっている。

 

 近寄っても蜜を吸うのに夢中で逃げようとはしない。

 

 上にいるのが黒い斑紋があるので♂のようだ。

 どうやら番だったらしい。ここで栄養を蓄えて卵を産み、

その子たちは来年成蝶となって遠い旅へと飛び立っていくのだろうか

 

 頂上のベンチに荷物を置いて、暫く秋の花の香りを含んだ心地良い風に吹かれ

時を過ごした。

下山は小岩の集落へ。

ツリフネソウの群落の中、ホシホウジャクがたくさん飛び回っていた。

 

 ホシホウジャクはスズメガの仲間。蛾ではあるが、昼間飛び回り、ホバリングしながら

釣竿のような長い口を伸ばして花の蜜を吸う。

 

 この花はシソ科ヤマハッカの仲間カメバヒキオコシ。奥多摩の低山では

山道の傍らに大量に群生する。名前はカメのしっぽのような葉っぱから。

 

 下りきったところにあった小岩集落の道祖神。長い年月が石像の角を丸め

 掘り込んだ文字や像を平らにしている。

 

 起伏も少なく、古の時の移ろいを感じながらの良い山行だった。

 この辺で。