Friends of Valves 自作真空管アンプ

自作真空管アンプを中心にいろいろ載せていきたいと思います。

800ダイナミックカップリングシングルアンプ(12)

2023-09-30 22:03:54 |  800シングルアンプ

800ダイナミックカップリングアンプですが、完成したものの電力効率が思わしくない旨について、前回記載しました。

そこで、今回はこれを改善すべくいろいろ試したうちの1つを記載したいと思います。

800ダイナミックカップリングの(9)回目の記載で、終段回路の接続方式について検討しましたが、これで下記の(3)の回路がびっくりするような特性だった(が、さらっと流した)と記載したかと思います。

そこで、この(3)の回路でいろいろ実験して見ました。確認したのは、純粋に出力と音質になります。なお、オシロでの確認では、負荷を純抵抗の8Ωとし、1kHzの正弦波で確認しています。また、800のプレートには325V、100mAを印加しています。

まず、(2)の回路がダイナミックカップリングの標準回路としていますが、この回路の場合、下記のような最大出力になります。

出力が、7.2Vでクリップしています。最大出力は、約3.5Wです。印加した電力のおおよそ10分の1が出力になっている感じです。

そこで、次は(3)の回路で試してみました。(3)の回路では、ダーリントン回路とするトランジスタをどうするか、バイポーラか、ユニポーラかあるいは最近はIGBTなんて素子もあります。

そこで、今回は載せませんが、2SCタイプのトランジスタか、FETかで音質を確認したところ、FETの方がよく感じたので、とりあえずFETとしました。

この接続で、ほぼ同じ電力を800に加えて確認したところ、次のような結果となりました。

クリップするところが、9.4Vとなりました。出力は5.5Wとなり、電力効率が少し上がりました。

やはり、トランジスタとダーリントン接続することで効果はあるようです。

そこで、この結果が面白いので、トランジスタをIGBTにしてみました。

IGBTは、東芝のGT40T301という品番のものです。この結果は不思議なことに(2)の場合と同じ出力になりました。ただ単に差し替えだけなのがいけなかったのかもわかりませんが、IGBTの特性はまだよくわかっていなく、使い方は今後の課題にしたいと思います。

今日は折角なので、この3つのタイプで音質比較していきました。

音質はあくまで主観ですが、下記のような感じでした。

(2)の回路の場合

音質は、響きが良くドラムが”ボンッ”となるところで、胸腔に響くような感じがし、どことなくエネルギーを感じるような傾向です。しかし、全体的に音質は甘く、輪郭が少しぼやけたような感じがしましたが、音質としては私の好みの音の1つです。

(3)の回路でFETの場合

FETは、NECの2SK2141とSTマイクロのSTB20NM50で比較しましたが、STB20NM50が好みの音だったのでこちらにしました。どちらもオーディオ用の品種ではなく、私は電源の平滑用にいつも使っているのですが、高耐圧ですし、この用途に使えそうなので確認してみたところ、音質は案外よかったのです。

音の傾向ですが、(2)の回路で感じた”胸腔に響くような感じ”が薄れてしまいました。が、代わりに張りのある音質で透明感はあるもののトランジスタのような硬さも混じったような音でした。しかしこれはこれでよい感じがしました。

(3)の回路でIGBTの場合

これは恐らく、真空管アンプの増幅部にIGBTを使用したアンプとして、世界初の回路ではないかと思います。そもそもIGBTを増幅回路に使用したアンプはほとんど見なくて、あまり増幅用に適した素子ではないのかもわかりません。私は今まで電源部分に使用したくらいで、増幅部分に使用したことがありませんでした。

出てきた音質は、ちょっと歪っぽくて大味な感じがしましたが、もう少しバイアスを調整するなどすればよいアンプになる可能性があります。音は朗々と鳴っていて、今後ものにしたい素子でもあります。

 

FETやIGBTは、入力容量が大きいので、出力インピーダンスの高い真空管アンプで使用して大丈夫か、とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、試した回路は、(2)を流用した下記のようなカソードフォロワの回路なので、そのあたりはほぼ大丈夫だと思います。

下記赤枠内にFETやIGBTを接続しています。

このあたりの回路で、良い動作点などを模索し次回のオフ会に臨みたいと思います。

 


コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 荒れ放題の家庭菜園 | トップ | 800ダイナミックカップリング... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
FET (イィヴィ平野)
2023-10-25 22:23:51
こんにちは。
一番下の回路図ですが、FETがONになりっぱなしになる(プレート電圧が直接グリッドに入る)ことはないのでしょうか?
電気のことがまったく解らなくて...お恥ずかしいです。
FET (Blog主)
2023-10-26 21:53:52
こんにちわ、コメントありがとうございます。
使用したFETはエンハンスメント型のもので、ソース電位よりゲート電位が高ければ、ドレインに電流が流れるタイプです。ドレイン電流はゲート電圧で制御できるため、程よくゲート電圧をかければ、適切な量の電流が真空管のグリッドに流れます。真空管はポジティブグリッド管なので、グリッド電流を流してやらないと活性化しません。”プレート電圧が直接グリッドに入る”というよりも、プレート供給電流の一部が、FETを介してグリッドに入ります。回答になっているでしょうか・・・
FET (イィヴィ平野)
2023-10-27 07:16:11
模した回路を借り組みしたところ、うまくいきませんでした。
デヴァイスと回路の原理を理解していないと無理ですね。
普通にトランス結合を検討します。(汗
FET (Blog主)
2023-10-27 21:17:26
うまくいかなかったとのことですが、FETはVdsがプレート電圧以上のものを使われているでしょうか。例えばプレート電圧が400Vでしたら、Vdsが500Vなどの高耐圧品を使用しないとFETが壊れて、ただの抵抗体などになってしまう恐れがあります。一度、ご使用の品番を確かめてみてください。
ただ、FETではあまり良い音とは思いませんでした。バイポーラトランジスタが良さそうです、東芝のTTC5460Bはいかがでしょうか。
ありがとうございます。 (イィヴィ平野)
2023-11-01 20:57:08
ありがとうございます。
一寸試してみます。

コメントを投稿

 800シングルアンプ」カテゴリの最新記事