ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

カンタベリーロック特集4 1970年の既成概念への挑戦 Soft Machine Ⅲ - Faceliftほか

2021-08-14 20:59:23 | カンタベリー・ロック

Soft Machine - Facelift

カンタベリー・ロックにおいて、キャラヴァンと同様の重要バンド、ソフトマシーンのサード・アルバム。

サイケデリック・ポップ的な表現から、ジャズ・ロックに移行した作品と言われ、初期の傑作と呼ばれています。当時は、二枚組のレコードで、片面1曲で、計4曲という大作指向です。ネットで評判を見ると、絶賛する記事が多く、ファンが多い作品と言えるでしょう。

メンバーは前作からのロバート・ワイアット(D,V)、マイク・ラトリッジ(Key)、ヒュー・ホッパー(B)に加え、イギリスのジャズ・バンドKTG(キース・ティペット・グループ)(TKG・・・卵かけご飯ではありません。)のエルトン・ディーンが参加(Sax)、さらに、芋づる式に、KTGの他のメンバー5人が参加し、大所帯で録音をした模様。ただし、アルバム・リリース後に残ったTKGメンバーはエルトン・ディーンだけで、バンドはカルテットになります。

 

この作品は、聴く人を選びます。決して、ポップではない作品なので、一般の人は聴きにくいかもしれません。

アヴァンギャルド的というか、抽象的・前衛的というか、フリー・ジャズの要素が強いというか、けっこう尖がってるんですよね。

バンドのメンバーの方は、今までにないジャズ・ロックを作るんだという未知の領域に踏み込む感覚があるし、リスナーも今までにない変わった作品を受け入れて評価しようという前向きの姿勢を持った人が聴くわけですね。心地良さを期待する人を拒絶する作品だと思います。

個人的には、何度も聴いて、面白い作品だと思うようになりました(中学生の頃は、何だこれ?と思いました。)。特に、1曲目の「Facelift」は尖がり具合がすごい。へんてこりんな曲構成はひねくれていて、飽きません。

ただし、ふつうのメロディアスな洋楽が好きな人がこの1曲めを聴いたら、「実験音楽みたいで笑っちゃう。(すみません、ブログ仲間のたいぴろさんの言葉を拝借しました。)」って、感じでしょうか?まともな音楽に聞こえないでしょうね。マニアックな男性向けの音楽です。クイーンとビートルズが好きみたいなロック・ファン、特に女性には薦めてはいけませんね(笑)。

この曲は最初は変ですが、途中から激しいメリハリのある曲調に変化します(とは言っても、実験的な試みが多く、起伏があります)。フリージャズ的なところもありますが、マイク・ラトリッジのプレイはやっぱりロック。クリムゾンのジャズ・ロックっぽいところが好きな人なら、さらに尖がっているこの音楽にハマるかもしれません。

 

Soft Machine - Slightly All the Time

2曲目のSlightly ALL The Time は1曲目と違って、スッキリとしたジャズでスタートします。意外に真面目な感じ。この曲はロックっぽかったり、フュージョンっぽかったり、ライバルのキャラヴァンっぽかったりして、実に聴きやすい。初めてソフトマシーンⅢを聴く人は、この曲から聴いた方がいいでしょう。戸惑いが少ないと思います。

 

3曲目の Moon In June は、唯一、ロバートのヴォーカルが聴ける曲。この曲はマイクのオルガンも主張が激しく、1,2曲目と異なり、ロック・バンドであることをアピールしている感じです。ロック・バンドとしてのアヴァンギャルド性にチャレンジした作品って感じがします。ライブ映像は凄まじいです。

Soft Machine - Moon In June (Bilzen Jazz And Pop Festival, Aug 22, 1969)

 

4曲目のOut-Bloody-Regeous も混沌とした曲ですが、2曲目同様、普通のジャズ、フュージョンっぽい感覚があるので、聴きやすいかも。

 

まとめますと、1,3曲目はかなり遊んでいる印象で、攻めている感じで、2,4曲目は割と聞きやすいイメージのある作品です。総じて、難解な作品を聴きこんで理解してやろういう意気込みのあるロック・ファンには十分楽しめると思います(笑)。聴きこむとクセになる?プログレは新しい音楽へのチャレンジだったことを考えると、1970年のこの作品は大いに理解できます。

この作品は理解しようとする人と理解しようとしない人は絶対話が合いません。ご注意ください。ロック・ファンでも守備範囲の広い人向けですね。プログレ・ファンだから理解できるというものでもなさそう。耳に快適ではないと思います。ロックが一番尖がっていた時代だからこそ、生まれた作品で、その時代を楽しむつもりで聴くべき作品だと思います。

コメント (6)
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