この日が今年最後の練習でした。ここのところいろんなストレスで体調を崩していますが、それでもやっぱり、年の最後は激しい練習で締めくくりたかったのです。皮肉なことに、体調不良で急激に痩せだしているため、パンチの切れが増しており、そこは亀仙人も認めるところでした。スピードも威力も確かにアップしています。やはり私のベストはヘビー級ではなく、ライトヘビー級、クルーザー級なのだと確信します。それがわかっただけでも体調を崩した価値があったのです。しかし、スタミナ枯渇は如何ともしがたく、私は何度も倒れ込み、吐くものなんて何もないのに何度も嘔吐しました。それでも亀仙人は私に立てと命じ、容赦なく、そして愛をもって追い込んできます。ひっさびさの地獄練習でした。でも、私はそれがありがたかった。その瞬間だけは、すべての苦悩から解き放たれ、ただ目の前の練習に微塵の煩悩雑念なく没頭し、私の魂は安息の中にあったからです。これが私のZONE。私は心から、幸せです。
またひとつ、年を重ねます。女性の美しさのように、男の強さも儚いもの。いつの頃からか、毎日カウントダウンを意識するようになりました。格闘家としての、現役選手としての終わりは、我々にとって死刑宣告並の恐怖と重さを持っています。でも、そうやってカウントダウンを意識したことで、終わりを覚悟したことで、なかなか時間が取れない日々の練習を本当に大切に集中して工夫してやるようになりました。その結果、自分にはまだまだノビシロがあることを知り、今にいたります。もっと若い頃から気付いていればとも思いますが、晩年の今だからこそ、こういう境地に達したのだと思うのです。私はまだ進化の途中。『我、未だ成らず。』グローブを置く最期の日まで、二十四時間、私は炎の格闘芸術家でありたいです。このブログを読んでくれる皆様が来年もそれぞれの世界で明るく楽しくご活躍されますように…。