福田ちえのときどき日記

日々の活動や雑感を掲載いたします。

こんな学校を作りたい、こんな学校があったらいいな~

2007年02月08日 | オピニオン
今朝の新聞。これまで放課後の子どもの安心安全の居場所となっていた「地域子ども教室」をグレードアップさせるため、文科省が緊急事業として支援強化に乗り出すとの報道がなされていました。

共働き家庭を対象の中心とした子どもの受け皿は、これまで、文科省管轄の「地域子ども教室」と、厚労省管轄の「放課後児童クラブ(留守家庭保育)」がありましたが、今後はそれらを連携させ、「放課後子ども教室」として新生させるとのことです。
これまでになかった、広範囲の子どもを対象にした総合的な放課後対策が実現しそうです。
教師以外にも、地元の有志や教職志願の若者など、様々な教え手を招いての「補習事業」や「地域の大人たちとの交流」を実現させて、放課後の子ども達へ、安心安全の場の提供と健全育成の支援を合わせて目指そうというものです。
私の長女をはじめて「留守家庭児童会(放課後児童保育)」にお預かりいただいてから8年の時を経ましたが、長年望んでいた新たな扉がようやく開かれる思いです。

子育ての負担は、幼児期(幼稚園、保育園時代)より小学校に上がってからの方が大きいと、これまで身に沁みて感じていました。
働く親の仕事の終了時間にある程度柔軟に対応していただける保育園に比べて、小学校進学後の放課後の子どもの居場所作りは、子育て世代の大きな課題のひとつでもあります。

先日のNHK特集番組「クローズアップ現代」でも、親が不在の放課後や休日の日中、働く親に代わって、おじいちゃんやおばあちゃんが子ども(お孫さん)の面倒を見ている家庭が増え続けているといった日本の子育ての現状を取り上げていました。
教育や育児の負担が親に集中することを、一番身近な祖父母が援助するという現代の子育て事情を紹介していました。
核家族化に傾きつつあると憂慮される日本社会に対して、新しい流れ示す新鮮な動向を感じました。

地域をあげての子育ての必要性が叫ばれ始める今日、その取組みの第一歩として、おじいちゃんやおばあちゃんが先陣を切ってその形を作り上げることはとても自然で理にかなったことであると思います。
少なくとも、いやいや孫の面倒をみているとか、手伝いの負担が新たな問題を生むといった声も聞かれません。

孫が手放しで可愛い…。できるだけ逢う機会が欲しい…。そしてに何よりも、実績を積んだ子育ての大先輩の頼もしい方々です。
核家族化の流れに棹をさす、大家族の良き部分を改めて考えさせる嬉しい動きであると思います。

核家族化の進行が結果的にもたらした子育ての負担の増大と家庭教育の行き詰まり。
そして、子育て・教育の負担を教育現場(学校)に過大に求める風潮と、学校・教師に課せられた責任の膨れ上がり…。
聖職の名の下に防波堤の役目を一手に任された先生方も限界に来ています。

子育てを社会全体で分担できるしくみづくりの必要性を強く感じています。
やはり、悶々としたところに流れや道筋をつけるのは政治や行政の役割であると思います。

地域で作る おらが学校 「コミュニティー・スクール」をご存知ですか?

2年ほど前になりますが、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正案」が国会で成立しました。
長い時間をかけた調査研究を経て、地域独自のニーズに基づき、地域住民やPTAが細かく学校運営に参画する新しいタイプの公立学校を市町村が設置できるようような法制度が整備されました。

いわゆる「コミュニティ・スクール」です。

「こんな学校を作りたい、こんな学校があったらいいな」といった意志のある地域住民やPTAの意向を取り上げて、「教職員人事」「予算の使い道」「教育課程の決定」などといった学校運営の分野に、地域の意向を細かく反映させることを可能にした根拠法令が今の日本には存在するわけです。

地域教育先進国のイギリスでは、すべての公立学校でやっていることです。
日本でできないはずがないと思います。

義務教育現場においては、これまで、どんな学校に行ってもいても同じ教育が受けられるということが大切な目的であり価値でした。
そして学校の優劣は、学力や偏差値という究極の物差しで計られすぎていたように思います。

基礎学力は当然に身に付けてていただきながら、人が人として成長する過程で「触発されるもの」「必要とするもの」「めざすもの」は様々であると思います。
学力だけでなく、様々な価値観を重んじた学校があるべきだし、また、その過程においても色んな学校から選べるべきだと思います。

教育の場に「コミュニティ・スクール」という、新しい選択肢ができています。
これまでの公立学校ではできなかった、地域主導の教育の場を作ることが可能になっていることを是非皆さんにも知っておいていただきたいと思います。


 「福田ちえ」ホームページ http://www.f-chie.jp 

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