福田ちえのときどき日記

日々の活動や雑感を掲載いたします。

人間らしく働き、生き、次の世代を育てる社会を維持することができるよう声を上げていきましょう

2007年02月03日 | オピニオン
「連合(日本労働組合総連合会)」の関東ブロックフォーラムに参加させていただきました。
「格差社会を考える~栃木から格差解消を」を掲げ、連合の高木会長、連合栃木の伍井会長、宇大国際学部の杉原教授、労務管理事務所長鍋島さん、栃木難病連会長玉木さんがパネリストを務め、格差問題の提起と是正に向けた方策の討論が400名規模で行なわれました。

私たちを今一番悩ましている格差の問題。問題の核心はやはり「非正規雇用」です。
派遣労働法などの規制緩和の名のもとに進行している雇用ルールの破壊。それが今の社会にどういう結果をもたらしたか。
ここ数年来続いた労働力の商品化による安売り合戦が、いかに格差を拡大し、人を非人間的な状況に追い込んでいくのか・・・。
景気の回復が言われる中、生活保護給付レベル以下の低賃金労働(ワーキング・プア)が世代を超えた広がりを見せています。
様々な労働現場の窮状・実態を織り交ぜながらの熱い討議でした。

安く買い叩かれる派遣の労働力。雇い入れ期間も6ヶ月、1年、2年と短期間に都合よく切られ、解雇の時も労働基準法の保障が適用されない。
満足な賃金・社会保障が届かない状況で正社員と同一の労働を強いられる。
派遣会社の営業担当が得意先や新規開拓先に配る宣伝チラシの文句にある、
「今なら一ヶ月無料お試しキャンペーン実施中!三ヶ月15%オフ!どこよりも安い労働力をあなたの所へ!」にビックリ。
派遣労働者の受け入れに競争入札が行われることもあるようで、人間がモノ同様に安売り合戦の真っ最中なのが今の日本の実態です。

正社員にも余波はおよびます。
派遣でも十分にこなせる仕事じゃないか・・・正社員を減らそう・・・といった企業幹部の声。
こうした負の連鎖がもたらしたものは、低賃金労働の蔓延、貧富の格差の増大、若者の自立阻害、生活不安による少子化、結果、社会保障基盤の弱体化などです。
止まらない少子化も、そうした矛盾を総合的に反映したものと考えられます。
日本の将来が存亡に関わる問題にまで発展しそうです(し始めています)。

いま国の政策は、財界寄りの「労働コスト削減」をさらにすすめる方向を向いています。
自由競争のもとでは格差は当然、すべて自己責任としてワーキング・プアの過酷な状況に目をつぶり、正規労働者には合法的に無償で長時間労働させるために「ホワイトカラーエグゼンプション」で労働時間規制を取り払おうとしています。

その昔、労働者の供給手配をしてその上前をはねる労働者供給事業は禁止されていました。人をモノとして扱い、ピンはねすることに道理は無いといった発想からでしょう。
「労働者派遣」のしくみが出来たのは1985年。
もともとの精神は、一時的・短期的な労働力の調整のため、かつ専門的技能を持った人に限って派遣しましょうというものだったそうです。

それが今では徐々に拡大され、全面的に公然と全業種で労働者派遣が可能となっています。
労働者供給ではないことの言い逃れと言われる「3年働いたら正社員の道もある・・」といった強制力の無い約束も、経団連や財界から「企業競争力維持向上の阻害要因である」とされて、なかなか動き出す気配がありません。

「人は何のために働くか」。労働者の基本的人権を保障することが、豊かな市民社会の基盤です。
人間らしく働き、生き、次の世代を育てる社会を維持することができるよう、国のあやまった労働政策を、早期に転換していただきたいと思います。


 「福田ちえ」ホームページ http://www.f-chie.jp 

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