ここのところのニュースを見てみますと、金融危機と株安&円高、産地偽装、そして毒物(薬品)入り食品の発覚といったニュースが日替わりの様に出ています。で、決まったように関係会社の幹部が何人か揃っての記者会見です。その会見の冒頭での謝罪の挨拶を、毎回注意してみています。この人は全然気持ちが無い、この人は少しはある、この人は自分のせいじゃないと思っている、この人は真摯に捉えて悩んでいる・・・といったことが手にとるように判ってしまうのは、きっと私だけではないでしょう。まぁ、大部分の人がいわゆる「棒読み」ですね。部下の書いた書類を見てその文章の通りしゃべる訳ですが、人の書いた文章を自分の言葉にして口から発するというのは、そう簡単なことではありません。ハッキリ言って、謝る気持ちのない人の口から謝る気持ちが表れることはありません。(おっと、一つだけありました、それは“詐欺師”の口から出る言葉です。)その技術は、我々が長年かかって習得するものです。しかも、嘘をつく技術ではなく、自分がその気持ちを持って話す→それが表に現れる、というものです。これが『表現』なのです。その意味では、記者会見の諸氏の口から出る言葉自体は違っても、謝りたくない気持ちは出ているのですから、正直に表現していることにはなりますが・・・。ナレーターと記者会見の幹部諸氏に必要な要素として共通しているのは、物事や出来事を正確にに判断する心と、それを基に生まれた自分の真摯な気持ちを持ち、言葉に乗せて口から(それは体からということ)発することでしょう。いつも弟子に言っている言葉「中身を全然見てないな!」「自分が話している相手のことを何も考えてないだろう!」「自分だけ話せば良いと思ってるんじゃないか!」これを、そっくり記者会見の幹部諸氏に言いたいなぁ・・・。
ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏 http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/
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