谷口ちゃんが芝居の力をつける為の劇団(というより集団)を立ち上げ、私もその一員に加わりました。彼は、野口三千三(みちぞう)氏に教えを受けていて、その理念が色濃く反映されていました。「海の中の昆布のようになれ」「鎖のようになれ」と言われ、何が何だかわからないまま、自分が昆布や鎖になろうとしました。「ばかやろう!そんな昆布があるか!」とか「鎖が意思をもってるか!」とか怒声が飛びます。懸命にやればやるほど、鎖にも昆布にも遠くなってしまうのです。「いいか!こういうこと・・」と彼がやると、それは昆布であり鎖であるのです。また「後ろに向かって声を出せ!」と言われ、またまたビックリ!アナウンサーの辞書のどこを探しても、後ろに話すことはありません。「横にしゃべることだってあるだろう!」と言われ、懸命に横に声を出すのですが・・・できる訳がない。しかし恐ろしいもので、ある時、急に昆布になれたのです、鎖にもなれたのです。後ろにも声を伝えることが出来るようになったのです。そして、一緒の舞台に何度も立ちました。もう一緒に芝居は出来ないのですね、谷口ちゃん!
塾に興味のある方はこちら・・・http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/
言葉に関する質問や、塾への問い合わせ、授業見学の申し込みなどはexpert@mars.dti.ne.jpまで。