ANA修行の方法を模索する

ANA修行を始める前に検討したのは、(1)必要な回数をこなせるか、(2)できるだけ低コストに――である。ANA修行で貯めるのは通常のマイルではなく、「プレミアムポイント」と呼ばれるものである。空港間の距離(マイル)を基準にして、路線や航空券の種別によってポイントが規定されている。私の目標はこのプレミアムポイントを1年間で5万貯めることである。

5万貯めるとANAマイレージクラブの「プラチナ」と呼ばれる上級会員になれる。プラチナは以前、体験したものである。体験ではなく、ホンモノの会員になろうとしている。上級会員資格は毎年4月から翌年3月末までの1年区切りで更新される。上級会員に達するために必要なだけ搭乗しない人が、毎年上級会員資格を得るためには本来、毎年修行し続けなければならない。

ANAの思う壺

ところが、いったんプラチナに達すれば、「ANAスーパーフライヤーズカード」というクレジットカードを取得することができる。このカードさえ持っていれば、翌年以降、修行しなくても上級会員の扱いをしてもらえるのである。ただ、ANAスーパーフライヤーズカードを持ち続けるためには最低でも1万円程度の年会費を毎年支払い続けなければならない。そういう意味もANAの思う壺にハマっているのである。

ちなみに、プレミアムポイントが3万マイルでは「ブロンズ」と呼ばれる上級会員資格が得られるのだが、スーパーフライヤーズカードを取得することはできない。ブロンズでは毎年維持するなら、毎年修行しなければならないのである。それならもう少し修行してプラチナにしておこうという、これまたANAの思う壺にハマっているのである。

用事があるのは関西方面だけ

さて、私が実際に行く必要のある地域はほぼ関西方面だけだ。東京と関西方面との間を往復するときの、運賃やプレミアムポイント(PP)、プラチナに達する5万PPを貯めるに必要な搭乗回数などを表にした。

ここでPPを「1」得るために必要な運賃を「プレミアムポイントコスト(PPC)」と呼ぶことにする。

●羽田と伊丹の往復だけで5万PPを得るために必要な搭乗回数と運賃

路線 運賃種別 運賃例 PP PPC 搭乗回数 総運賃
 羽田←→伊丹   ビジネスきっぷ    15,670円  960  16.3 52.1  816,146円
特割  14,170円  820  17.3 61.0  864,024円
旅割  10,170円  420  24.2 119.0  1,210,714円

搭乗回数は本来、整数や、現実には偶数に切り上げる必要がある。しかしここでは、あくまで目安を知ることが目的なので、小数のままで表示している。

羽田←→伊丹をビジネスきっぷという運賃で乗ると、片道15,670円で960PPとなる。PPCは16.3円。特割運賃で乗る場合、運賃は安いがPPも820に下がる。運賃14,170円ならPPCは17.3円になる。ビジネスきっぷより運賃は安いが、PPCはむしろ上がるのである。旅割運賃ならどうか、運賃は下がるが、PPも420と大幅に下がる。運賃が10,170円の場合のPPCは24.2円になる。

現実にはビジネスきっぷと特割を併用することになる。とすれば、年回60回前後の搭乗が必要である。月に2~3往復しなければならない。それだけの回数をこなすのはムリだ。とはいえ、修行しないとしても関西方面には行くので、基本は羽田←→伊丹間でプレミアムポイントを貯める。そこに、どういうふうに「修行」を組み合わせてプラチナにするかを考察した。

那覇コースを発見

PPCが16~17円よりも安い路線・運賃で修行しようと考えた。国内限定で、とにかく遠方に飛ぼうと思った。遠い方が一度に貯まるPPが多いので修行回数が少なくて良い。遠方と言えば札幌か福岡か那覇である。一般にこうした幹線の方が運賃は安い。いろんな路線について運賃とPPを調べた。

●路線の検討

路線 運賃種別 運賃例 PP PPC
  羽田→札幌    ビジネスきっぷ     28,870円   1420   20.3
特割   25,570円   1164  22.0
旅割   12,670円     764  16.6
札幌→大阪 旅割   13,800円     999  13.8
羽田→福岡  ビジネスきっぷ     30,470円   1534  19.9
特割   24,070円   1250  19.3
旅割   14,670円     850  17.3
福岡→大阪 旅割    12,500円     430  29.1
羽田→那覇  ビジネスきっぷ     36,470円   2368  15.4
特割   34,070円   1876  18.2
旅割   16,070円   1476  10.9
那覇→大阪 旅割     12,800円   1108  11.6

安いのは沖縄路線だった。羽田→那覇の旅割だとPPCが10~12円、那覇→大阪だとPPCが9~12円になる。これで決まった。大阪に行くために、羽田→那覇→大阪の路線を選ぶことにした。

ただし通常、大阪に行くなら数日前に特割を買うことが多かったが、那覇経由にするには2カ月ぐらい前から旅割の予約をしなければならない。旅割を買ってしまった後で、予定が変わってキャンセルするとなれば、キャンセル料が半額ぐらいかかってしまう。

予定通りに乗ったとしても、大阪行きの特割なら14170円程度だが、羽田→那覇→大阪の合計運賃は、旅割でも安くても27,000~28,000円程度はかかってしまうのである。1回に付き13,000~14,000円のコスト増を見込まなければならない。

これら全てが修行である。喜捨である。

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