開業医の妻のたわごと

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オバマ氏のスピーチ

2008年08月31日 00時36分48秒 | Weblog
米国次期大統領候補のオバマ氏が演説する姿をニュースで見て、

私は故ジョン・F・ケネディ大統領を思い出した。


イヤ、ナニ、

もちろん

故ケネディ大統領が演説中の姿をTVニュースで見た事は無い。

しかし、カセットテープで彼の声を何度も何度も聴いた。


あれは大学1年の春の事・・・。

キャンパスをひとり歩いていたら、

優しそうな顔をした男子学生に声をかけられた、

「ESSに入りませんか?」と。


それからが悪夢の始まり・・・。


「ちょっと英会話ができたらエエわ。」と言う気持ちで

ESSに気楽に入部した私は、

その後、拷問のようなツライ日々を送る事になる。


マンモス私大のESSはスゴイ(今はどうなってるか全く知らんが)。


部員が何十人も居て、先輩部員が新入生をしごく。

このしごき方、今思うと、スポーツクラブ並だ。


最初に出された課題が「スピーチ」。

故ケネディ大統領の就任演説をそのまま暗記し、

演壇に立って、ケネディ大統領のように

聴衆(クラブの場合は100名ぐらいの部員の前で)に

語りかけるという無理難題が私たち1年生部員に課せられた目標。


そのスピーチの発表の本番まで、

約3ヶ月、毎日、放課後約3時間、先輩から色んな指導を受ける。


まず最初は発音指導から。

田舎の公立高校を出た私はもちろん発音はデタラメだ。

(だって先生もそんな人ばっかやったも~ん。・・・と人のせいにする。へへ)


そんな私を捕まえて、

毎晩「R」と「L」の発音の違いを先輩が私にたたき込むのだ。


できませ~ん・・・なんて言えない。

来る日も来る日も発音指導。


時には大学前の御所で発声練習。


次は演説に重みを持たせる読み方の指導。

内容によって、

「静かに語る、大きな声ではっきりと訴える」など、

その文章、文章で抑揚を変えるのだ。


次に目線。

聴衆全員を等分に見て語る。

まず、正面の人々に、

そして右側の人々に、

そして左側の人々に、

常にその配分を考えて話す。


もちろんキョロキョロしてはいけない。

威厳を持って堂々と。


発表の日まで何度も泣いた。

何で、受験勉強後の遊びたい盛りの時に、

こんな事で苦しまなければならないのか・・・。


しかし、今、TVでオバマ氏の聴衆に熱く語りかけるスピーチを観て、

あの頃が楽しいひとこまの絵として鮮やかによみがえる。

「あんな風にスピーチをするのだ」と先輩が真摯に一生懸命教えてくれた。

色んな事を精一杯できた若きあの頃。


スピーチの次は

英語で討論するという「ディベイト」という競技が待っていた。

その時のお題は「死刑」。

死刑に賛成か反対か、自分で考え、どちらかの立場に立って、

グループ一丸となり、とことん意見を述べる。


相手グループをを論破できたら勝ちだ。

ディベイトなどでは他大学との対抗試合もある。


その為、自宅学習はもちろん、

寒さで氷るようなお寺での合宿まであった。


「死刑」に関する本(日本語)を何冊も読んだ。

そして自分の考えを英語でまとめる。

甘ちゃんにとってなんと過酷なトレーニングだったことか。


結局、私は勉強ギライでESSは1年で止めてしまったが、

今となってはあの強制学習クラブは実にいい思い出だ。

(タダであんなに英語を教えてもらえるなんて・・・ん?)


4年間続けた先輩たちは数人しか居なかったが、

皆、とても聡明でキラキラと輝いていた。

確か、就職先も良かった。


今になって、あの時の自分がいかにバカだったか・・・思い知らされる。


あの頃、もう少し意志が強かったなら・・・

今頃私は違う人生を歩んでいたのだろうか・・・。

コメント (2)
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