花森えりか My Room

─愛と官能について語る部屋─

愛の褥(しとね)

2009-04-06 12:30:11 | 告白手記
 素敵なタイトルでしょう?
 少し平凡だけれど。
 愛の褥(しとね)。
 初体験をする寝具、敷布団のことです。
 洋室なら、ベッドが愛の褥。
 和室なら、和布団が、愛の褥。
 私の初体験は──。
 彼の部屋は、8畳ぶんぐらいの洋室。
 でも、ベッドは置いてないんです。
 書棚や机やチェストのような低い整理ダンスがあったような記憶があります。
 そして、壁際にソファが一つ。
 そのソファの背もたれの部分を倒すと、ベッドになるんです。
 ソファ・ベッドです。
 サイズはそう大きくなくて、シングルベッドぐらいだったと思うんです。
 初夏の日曜日の昼下がり。
 彼の家の、彼の部屋。
 彼が黒縁のメガネをはずして、ソファでキスしていたんです。
 それから、彼は唇を離して、そのソファをベッドにしてみようかって言ったんです。まるで手品でもして見せるみたいに。
 ヘンな言い方だけど、それが彼の精一杯の言葉だったのでしょう。
 私は、急に胸の鼓動が速くなるのを感じながら、コクンとうなずきました。

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